2013 Fiscal Year Annual Research Report
RNAの編集、化学修飾情報の1分子レベル解析技術の開発
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24350084
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川井 清彦 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50314422)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝子診断 / RNA / エピジェネティクス / 1分子計測(SMD) / DNA |
Research Abstract |
RNAは転写後、アデニン(A)のイノシン(I)への編集、そしてシトシン(C)やAのメチル化など、100種類以上の化学修飾を受けていることが知られる。これらRNAのエピジェネティックな化学修飾は、様々な生命現象を制御していることが明らかになりつつあり、細胞内で発現している極微量のRNAから、そのエピジェネティックな化学修飾を検出・定量する新技術の開発が望まれている。極微量しか発現されないRNAの編集や化学修飾を解析するためには、通常cDNAへの逆転写、PCRによる情報増幅が不可欠となるが、多くのエピジェネティックな情報はこれら過程で失われてしまい、RNAの転写後の編集・化学修飾を解析することは困難であった。本研究課題では、ターゲットRNAを1分子レベルで解析し、極微量のRNAからエピジェネティックな情報を失うことなくそのまま迅速に読み出す新技術の開発を目指す。非常に小さな構造の違いを読み出すため、申請者はDNA/RNAハイブリッドの電荷移動特性に着目し、1分子レベルでの電荷移動速度の測定からRNAのエピジェネティックな化学修飾の読み出しを達成する。24年度の研究では、主にDNA/DNA二本鎖中の電荷移動測定の配列拡張について研究した。25年度の研究では、DNA/DNA二本鎖において、DNAの一塩基多型と関わるミスマッチや一塩基欠損、そして化学修飾などの一塩基違いを1分子レベル電荷移動測定により読み出せることを示した。次に、蛍光分子修飾DNAプローブを用いて、相補鎖RNA間で生じるDNA/RNA二本鎖中での電荷移動測定を達成した。さらに、電荷移動速度が、RNAの編集や化学修飾に応じて変化することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度の研究において、蛍光分子修飾DNAプローブを用いて、相補鎖RNA間で生じるDNA/RNA二本鎖中での電荷移動測定を達成した。また、電荷移動速度が、RNAの化学修飾に応じて変化することを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
実際に変異が癌化と深く関わっている事が知られるRNA配列をターゲットとし、電荷移動測定に基づく情報読み出しを達成する。この際、実際に読み出しに必要となるRNA数の限界値に挑戦する。読み出し可能なRNA化学修飾の拡張を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進捗に伴い、蛍光分子修飾プローブDNAの精製・分析を可能とする、高速液体クロマトグラフィーが必要となったが、金額的に25年度中の納入か困難であり、次年度に繰り越した。 26年度補助金と合算し、蛍光分子修飾プローブDNAの精製・分析を可能とする、高速液体クロマトグラフィーの購入に使用する。
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Research Products
(6 results)