2013 Fiscal Year Annual Research Report
電極触媒スーパーアーキテクチャーの創製による電極反応選択性の深化
Project/Area Number |
24350091
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
梅田 実 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (20323066)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白仁田 沙代子 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (90580994)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 電極触媒 / 反応選択性 / 膜電極接合体 / ナノめっき / 燃料電池 / 原子間力顕微鏡 / メタノール酸化 / 酸素還元 |
Research Abstract |
本研究の目的は,マイクロ・ナノ電極と材料技術を巧妙に組み合わせて電極触媒アーキテクチャーを創製し,電極反応の選択性を格段に深化させることにある。本研究で開発予定の反応選択性を示す電極を用いる直接メタノール燃料電池(DMFC)は,燃料電池本体の重量低減を可能とする新技術として期待される。さらに,電極触媒が関わる燃料電池に関係する研究も推し進める。本年度の主要な成果は以下の通りである。 まず,前年度に得たメタノール酸化反応選択性を示すPt-Ru-C三元スパッタ電極を,DMFCの燃料極に使用して,発電特性を評価した。その結果,メタノール燃料が酸素の共存によっても発電性能が低下しないDMFC用反応選択性電極触媒を得た。次に,平滑なグラッシーカーボン(GC)基体に,前年度に開発したマスクファブリケーション法を用いてPtめっきを行った。基体にランドマークを設けることで,劣化前後のPtをAFMおよびSEMで直接観測できるようにした。これより,H2O2に代表されるPt劣化加速因子の関与についてPtモルフォロジー観察より検討を行った。加えて,Pt溶解加速因子であるH2O2の作用を,新規導入した蛍光高度計を使用してOHラジカルであると特徴づけた。さらに,電極触媒の劣化因子となるH2O2の発生を調べるため,Ptマイクロ電極にNafionイオノマーを塗布して走査型電気化学顕微鏡(SECM)の発生極とした。酸素還元の際に検出極で観測されるH2O2の量は,Nafion膜厚とともに増加するが,さらに膜厚が増加すると減少した。これは,H2O2発生サイト数の変化とNafion膜中のH2O2拡散係数により説明された。また,DMFCのコンディショニングを最適化して,実用化に資する研究を行った。以上,本研究の遂行により,電極触媒の構成に関する研究と燃料電池応用を前提とした電極触媒反応選択性の研究が進展している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pt-Ru-C反応選択性触媒を直接メタノール燃料電池(DMFC)に組み込むことで,空気中の酸素が混入しても発電性能が低下しない燃料電池を作れることが証明された。白金電極触媒の劣化機構および劣化の加速因子となるH2O2の作用を可視化観測と反応活性種の特定から研究した。さらに,DMFC実用化の観点から,コンディショニングの最適化を検討した。このように当初の計画どおりに研究を遂行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)電極触媒の反応選択性の発現に関する電極反応メカニズム研究,(2)反応選択性触媒の粉体化およびそれを用いる直接メタノール燃料電池(DMFC)の作製,(3)多孔質マイクロ電極を用いる白金ナノ粒子電極触媒の劣化メカニズムの研究を,走査型電気化学顕微鏡(SECM)を用いて解析する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
導入設備(蛍光高度計)が納入業者の企業努力で予定より安価に購入できたため,その差額が次年度使用額として生じた。 本研究の成果を国際電気化学会の春の会議(2014.4.27-30)で成果報告するための海外渡航旅費の一部に使用する。このことによるH26年度の研究計画ならびに研究費の使用に係る影響はない。
|