2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24350100
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
高木 慎介 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (40281240)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ポルフィリン / 粘土鉱物 / ナノシート / 人工光捕集系 / 人工光合成 / エネルギー移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、二つの研究課題に取り組んだ。一つはi)人工光捕集系の効率向上に関するもの、二つ目はii)人工光捕集系メカニズムの解明に関するものである。 i)については新規にフルオロン誘導体を色素として適用し、ナノシート上におけるエネルギーマイグレーションに基づくと思われる高効率なエネルギー移動系を見出すことに成功した。さらに、二種の色素間のみならず、三種の色素を混在させた系におけるエネルギー移動反応に成功した。系のシステム化としては、ナノシートを積層することにより薄膜型のエネルギー移動系の構築を行った。ナノシートの積層は粘土LB法によって行い積層方向への異方性のあるエネルギー移動反応について検討した。これらの成果により、太陽光全域を吸収する人工光捕集系としての性能が向上した。 ii)については、特にフロオロン分子間でエネルギーマイグレーションが起き、遠距離にわたるエネルギー移動がエネルギー移動効率、ひいては、太陽光利用効率の向上につながりうることが明らかとなった。蛍光偏光解消などの実験手法によりエネルギーマイグレーションが起きていることを明らかとした。 今後、光捕集系の効率評価法を確立し、真の意味で人工光捕集系と呼びうる色素ーナノシート複合体の創成を進めていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の最終目標は、物質変換系と連結しうる人工光捕集系の確立であるが、エネルギー移動メカニズムの解明や効率の向上の視点から、研究に大きな進展が見られ、研究期間内に目標を達成できる可能性が十分にある。特に、光捕集系においては、この効率、システム化ともに十分な成果が得られた。このことから、物質変換系と組み合わせるための人工光捕集系の完成にさらに近づくことが出来た。より一層、材料作成とメカニズム解明をリンクさせていくことにより、ナノシート上における分子レベルで制御された、人工光合成系の構築が期待される。 これらの状況より、本研究は、おおむね順調に進展していると判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは、光捕集系の基本性能である、エネルギー移動効率の向上について引き続き検討を続ける。その際、ナノシートが分散したモデル系での研究は進展しているが、膜系など、その後のデバイス化に関する検討をさらに進める予定である。同時に、理論検討が今後の性能向上において不可欠なので、時間分解蛍光測定などを通じて、エネルギー移動メカニズムについてもより詳細に解明していく。また、光捕集系として用いることの出来る色素の種類はまだ数種類であり、これだけでは太陽光全域を利用するにはまだ不足である。引き続き、光捕集系に用いうる色素の探索も継続して行う。
|
Causes of Carryover |
前年度の繰り越しがあったため、今年度も繰り越しが生じているが、今年度単体では繰り越しは生じていない。むしろ、今年度単体では、当初予定支出を上回っており、順調に研究費は消化されている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、一層研究を推進し、当初予定通りの研究費支出を行う予定である。
|
Research Products
(11 results)