2013 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド高分子ナノ集積体の非線形応答ダイナミクス
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24350112
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三ツ石 方也 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70333903)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ハイブリッド / ナノシート / 集積体 / 光機能 / 電子機能 |
Research Abstract |
両親媒性高分子ポリ(N-ドデシルアクリルアミド)(pDDA)存在下、強誘電性高分子ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を水面上に滴下し、Langmuir-Blodgett(LB)法により超薄膜を作製できることを見出している。このPVDF超薄膜をアルミや金などの金属電極にはさみ、自作のSawyer-Tower法により分極―電場のヒステリシスループを測定したところ、最大6.6μC/cm^2の自発分極を有することがわかった。この値は、200nm以下のPVDF単独の高分子超薄膜としては最大の値である。熱処理や円処理を行うことなく大きな自発分極を有する強誘電性高分子調薄膜をLB法により作製できることを示せた。自発分極の膜厚依存性について検討したところ、自発分極値は50nm以下の膜厚では小さい値であり、50nmを超えると一定の値となる傾向を示した。超薄膜において界面や分子配向が自発分極に影響すると考えられる。電極の種類や積層時の分子配向制御が重要な因子となることを示唆している。 シルセスキオキサンを有する高分子ナノシートについて光酸化SiO2超薄膜を作製し、その絶縁特性の評価を行った。これまでサンドイッチ型電極を利用した絶縁特性の評価を行ってきたが、二重リング電極法によりあらためて測定を行ったところ、ガラスと同等の絶縁性を光酸化SiO2超薄膜が持つことが明らかになった。また、PETとなどのフレキシブル基板上にもこの高分子ナノシートを積層することが可能であり、オゾン処理でSiO2超薄膜とすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強誘電性高分子PVDFを利用した高分子のナノ構造制御に成功し、非線形光学効果および光電子機能両面において非線形ダイナミクス特性を検討することが達成できた。また、シルセスキオキサンを有するナノシートによるSiO2超薄膜について、ガラスと同等の絶縁特性を有することを確認できた。今後、この絶縁超薄膜を利用したメモリ特性を詳細に検討する予定であり、当初の目的を達成できるものと考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
強誘電性高分子調薄膜について、双極子モーメントが基板に水平方向に向いていると考えられる。双極子モーメントの初期配向制御が可能になれば、より効率のよい非線形応答が得られると考えられるため、膜作製時および基板処理等の効果を検討する。 真空プローバーや電極サンドイッチ構造を利用して、SiO2超薄膜を用いたメモリ特性について検討を行う。デバイス展開に向けて超薄膜の構造欠陥や耐久性についても検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品への使用額が当初予定していたものよりも抑えることができたため、次年度使用額が生じた。 低温での測定が可能なクライオスタットシステムを購入予定であり、ハイブリッド高分子ナノ集積地の非線形応答について、光・電子機能両面から検討する予定である。
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Research Products
(18 results)