2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規ゲル化剤・増粘剤の開発とその実用化に向けての研究
Project/Area Number |
24350117
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
英 謙二 信州大学, 総合工学系研究科, 教授 (60126696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 正浩 信州大学, 総合工学系研究科, 准教授 (30334915)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ゲル / ゲル化剤 / ゲル化駆動セグメント / 増粘剤 / 超分子化学 |
Research Abstract |
ポリマー型ゲル化剤、オリゴマー型ゲル化剤の開発のためにまず、ゲル化駆動セグメントの分子設計をした。まず、原料としてL-バリンよりはるかに安価なD,L-フェニルアラニンを選んだ。ラセミ体化合物は一般に結晶性がよく、ゲル化能がないと言われてきたが、本年度の研究結果より、ラセミ体のD,L-フェニルアラニンを出発原料に使ってもゲル化剤として働く化合物を開発した。出発原料にD,L-フェニルアラニンを使い、両末端S-Hポリジメチルシロキサンにゲル化駆動セグメントを導入した。その結果、L~L、D~D、L~Dの3種類の光学異性体ができる事がわかった。L~LとD~Dのそれぞれにはゲル化能があるが、L~LとD~Dの等モル混合物のラセミ体は結晶性がよくゲル化能はなかった。しかし、L~LとD~DにジアステレオマーのL~Dを混在させると結晶性が低下しゲル化能が発現することが明らかとなった。本研究の合成ではn-オクタデシルアミンが比較的高価であるだけで、DCCカップリング剤のような高価な試薬は一切使用しないで合成に成功した。ポリマーの両末端にラセミ体セグメントを導入するとL~LとD~Dから成るラセミ体とL~Dのジアステレオマーの3種類の光学異性体混合物になり、ゲル化剤として作用するという現象は申請者が初めて見つけたものであり、低コストにも直結することが分かった。また、グリシンを原料にして合成した化合物には」ゲル化能が見られず、ゲル化駆動セグメントとして適さない事が分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
安価なラセミ体のD,L-フェニルアラニンを原料に使ってゲル化駆動セグメントを開発できたことは大いに主張できる。一方、原料にひとつにラウリン酸クロリドを使用しないといけない箇所があり、これを解決しないと工業レベルの製造では問題になる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は新規増粘剤の開発と分子設計指針の確立を目指す。具体的には、安価な工業中間体の5-アミノイソフタル酸や3,5-ジアミノ安息香酸を出発原料に使い新規な増粘剤を開発する。数種類の光学異性体の組み合わせでゲル化能を発現するものと増粘化するものがあることが分かっているので、増粘剤の分子設計指針を確立したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
光学活性原料として各種のアルキルアミンを使い、新規な増粘剤を開発する。直接経費次年度使用額として90万円ほどを計上したが、その理由はゲル化駆動セグメントを探索する上で様々なアミノ酸の可能性を調査する予定であったが、ことのほか早く安価なラセミ体のD,L-フェニルアラニンが原料として最良であることが判明したためである.次年度はかなり高額な光学活性原料を購入する必要がある。
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