2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規ゲル化剤・増粘剤の開発とその実用化に向けての研究
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24350117
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
英 謙二 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (60126696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 正浩 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (30334915)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ゲル / ゲル化剤 / ゲル化駆動セグメント / 増粘剤 / 超分子化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は新規増粘剤・新規ゲル化剤の開発と分子設計指針の確立を目指した。具体的には5-アミノイソフタル酸や3,5-ジアミノ安息香酸を出発原料とした増粘剤・ゲル化剤の開発に成功した。3,5-ジアミノ安息香酸誘導体については様々な工夫の結果の成功であり、意義深いと自負している。 透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、蛍光顕微鏡を使い、増粘化する場合とゲル化する場合とでは分子集合体の形態にどのような差異を生じるのかを調べた。また、レオロジー測定によってニュートン流体と非ニュートン流体があることを発見した。非ニュートン流体を発現する増粘剤についてはチキソトロピー性を調べた。 開発した増粘剤・ゲル化剤の実用化を目指し、安価な原料を使った合成法を確立した。例えば新規ゲル化剤の開発では非晶性を付与するポリマーとして二官能性のSi-Hシロキサン、三官能性のSi-Hシロキサンや二官能性のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカーボネートギリコール、ポリエステルグリコール、三官能性のポリエステルトリオールなどを使った。これらは工業中間体として安価に入手できる原料であり、増粘剤やゲル化剤の開発にとって利用価値の高い原料であることを証明した。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカーボネートギリコール、ポリエステルグリコールを利用すると水をはじめとする親水性の溶剤に対しゲル化能を示した。一方、ポリジメチルシロキサンである二官能性のSi-Hシロキサン、三官能性のSi-Hシロキサンを原料に使うと、従来までゲル化の難しかったデカメチルシクロペンラシロキサン(D5)をゲル化できることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
5-アミノイソフタル酸、3,5-ジアミノ安息香酸を出発原料とした増粘剤・ゲル化剤の開発に成功した。なお、合計過程に酸クロリドを使う箇所があり、実用化するには塩素(酸クロリド)を含まない方法を確立する必要がある。まだ確立していな現状を鑑み「やや遅れている」と自己評価した理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策としては、新規なゲル化駆動セグメントを取り入れた新規ゲル化剤を開発し、ゲル化機構を超分子化学的に解明しゲル化剤開発のための分子設計指針を確立したい。ゲル化剤には化粧品をはじめ捺染用インクジェット、液漏れ防止ためのゲル電解質、ES細胞・iPS細胞培養のための足場など多くの社会的ニーズがある。そのニーズに応えるべく、安全かつ低コストのゲル化剤を開発し実用化を目指したい。
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Causes of Carryover |
平成26年7月中旬にそれまで研究をしていた機能高分子学課程の建屋が改修工事にはいった。建屋の改修が完了したのは平成27年3月中旬であった。引越しに時間がかかり、なおかつ引越し後もすぐには落ち着かず研究を再開するまでにかなりの時間を費やした。また、引越し先の仮建屋にはドラフトが1台しかなかった。その点も研究が遅れた理由の一つである。研究が遅れた分、次年度への繰越金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新規増粘剤、新規ゲル化剤の合成原料、合成溶媒、実験用ガラス器具などを新規購入し、研究環境を補強して直ちに残りの研究をやり遂げる。
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