2012 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合規制に基づく機能性分子の光配向と機能発現応答材料の創出
Project/Area Number |
24350121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
川月 喜弘 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (60271201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 浩司 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (10283029)
近藤 瑞穂 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (70447564)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 光配向 / 高分子液晶 / ブロックコポリマー / 蛍光 / 複屈折 |
Research Abstract |
本課題の目的は,水素結合性の光配向性高分子液晶(H-PLCP)とフッ素を含有する疎水性部からなるブロックコポリマーに,水素結合部を有する機能性分子を導入・配向させ、機能性材料とH-PLCPとの間に形成された水素結合を外部刺激によって可逆的に脱着再結合制御できる材料の創成である。すなわち,水素結合性メソゲンを有する高分子と疎水性高分子からなる種々のブロックコポリマーの合成と光配向,およびそれらと水素結合性部を持つ機能性色素と配向した水素結合性メソゲンとの相互作用、熱や溶媒雰囲気下での複屈折や蛍光異方性などの挙動変化を精査する。24年度は,水素結合部位を持たない,種々の分子量の光配向性高分子液晶をRAFT重合により合成し、分子量の光配向性への影響を検討した.その結果,これらの高分子は,光反応性はほぼ同一である一方、熱処理による分子配向性が分子量に強く依存することがわかった。また,分子配向を誘起するためには,薄膜全体が不溶化するだけの光架橋が必要であり、この架橋量は分子量が小さいほど、より多くの光架橋を生成する必要があることが明らかとなった。この結果より、ブロックコポリマーを作製する際においても,分子配向を誘起するために必要な分子量を予測することが可能となった。また,水素結合部を有する色素として,分子末端にピリジル基を有する非対称なチオフェン誘導体を合成した。この色素とH-PLCPを複合化したところ、チオフェンの吸収や発光挙動が変化し、色素が液晶性を示さなくとも配向を誘起できることがわかった。また,水素結合を介して基板表面に固定化することで,色素の昇華が抑制され、耐熱性が向上することも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現時点でH-PL,CPを有するブロックコポリマーを作製する手法や必要な分子量などの基礎データを評価している。 一方,色素についてもフルオレンの他、種々の分子構造や性質を有する水素結合性色素の合成が完了している。以上の状況から当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、予備検討として,水素結合部位を有し,発光機能以外の性能を有する色素の合成に着手している。この材料は水素結合によって色調を変化し、酸性高分子内に取り込めるだけでなく,力学的な刺激によっても色調を変化できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度では色素の合成に注力し,物性測定に関する予算の使用量が低くなった。 そこで24年度の結果を元に,一定以上の分子量を有するH-PLCPとフッ素を含有する疎水性部からなるブロックコポリマー(HB-PLCP)を合成する。また,24年度に合成したオリゴチオフェンを始めとする種々の水素結合性色素について,(HB-PLCP)内における配向性や発光特性の変化について検討する。
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