2013 Fiscal Year Annual Research Report
化学量論の本質により化学量論点と調和融解点を一致させたタンタル酸リチウムの創成
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24360002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇田 聡 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90361170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 一郎 中央大学, 理工学部, 教授 (90272385)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | LiTaO3 / 化学量論 / 調和融解組成 / 結晶化起電力 / 波長変換 / 自由度 |
Research Abstract |
調和融解組成における結晶育成は溶質成分の偏析がないため、容易に行うことができる。一方で、通常の酸化物の化学量論組成における結晶育成は偏析が生じるために従来の育成方法では均一な組成を保って結晶を育成するのは困難である。調和融解組成と化学量論組成を同時に満たす場合は結晶を構成する全てのイオン種の偏析が生じないため、優れた光学特性を持つことが期待できるとともに、結晶育成の観点からも均一性の高い結晶が容易に育成できることが期待できる。 前年度の研究にて化学量論組成線であるTa2O5=50%ライン上の9.2mol%MgOを添加した組成点(Ta2O5 : Li2O : MgO = 50.0 : 40.8 : 9.2)が、調和融解組成と化学量論組成が一致するタンタル酸リチウム組成 (cs-MgO:LT) である事を見出した。本年度は、本組成を用い単結晶の引き上げ育成法を確立した。留意点は、固液界面近傍の温度勾配、引き上げ速度、結晶回転速度である。結晶の育成例を以下に示す。 cs-MgO:LT組成の焼結体原料をイリジウムるつぼ(内径37.8 mm、高さ38.5 mm)に236 g(95vol%)充填し、単結晶引き上げ装置(テクノサーチ製)を用いてCZ法により単結晶の育成を行った。液面上部の温度勾配は、50℃/cmである。るつぼの上部にはイリジウム製のアフターヒーターを設置し、種結晶の引き上げ速度は2.0 mm/h、軸の回転速度は15 rpm、1%酸素混合アルゴン雰囲気中で行った。c軸方向に引き上げを行い、3.1×3.1 mmに切り出したc-LT組成のLT結晶を種結晶として用いた。育成した結晶の結晶径は約23 mmで結晶の固化率は66.7%であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は、これまで複数の酸化物単結晶の育成を行い、その育成のノウハウを集積している。しかし、本研究のタンタル酸リチウム単結晶は、融点が1700℃に近く、育成の困難さが予想された。そこで大型バルク結晶育成を行う前に、マイクロ引き下げ法で小型結晶を育成し、適正育成条件を把握した。このプロセスにより引き上げ法でcs-MgO:LTのバルク結晶を速やかに育成することが出来たと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度育成したcs-MgO:LT結晶の均質性を結晶内のキュリー点分布により評価する。次に、同結晶が比較用結晶に対して優れた組成均質性と高い緑色光変換効率(高輝度緑色光発生)を持つことを示す。特に、現在プロジェクタに使用されているMgO添加のLN結晶に対し、cs-MgO:LT結晶による緑色光の出力強度が2倍以上であることを示す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
結晶化起電力測定実験は前年度に終了したので、白金/ロジウム板の購入量は予定より少なかった。また、前年度に購入を予定していたロジウムルツボについては、研究室に現存するルツボの劣化の程度が使用に耐え得ると判断し、購入はしなかった。このため次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、次年度請求額とあわせ、次年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)