2012 Fiscal Year Annual Research Report
相変化材料のナノ秒領域における高速結晶化温度特性の解明と多値記録への応用
Project/Area Number |
24360003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
保坂 純男 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10334129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 正史 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (60356954)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 相変化 / 高速度結晶化 / 多値記録 / 階段パルス |
Research Abstract |
不揮発性メモリの1つである相変化メモリ(PRAM)の基本特性である高速相変化メカニズムの解明を目的にナノ秒領域の相変化、即ち、高速結晶化過程の解明を行う。平成24年度は、(1)ナノ秒領域での階段パルスの第2パルスの時間幅による抵抗変化の計測、(2)階段パルス印加シミュレーションによる温度変化の予測、(3)上記(1)、(2)より各種相変化材料の時間・温度特性(TTT特性)の計測、(4)ナノ秒領域での相変化抵抗制御(抵抗モニター含む)の予備実験、(5)相変化材料の熔融状態の熱伝導率や電気伝導率測定技術の検討を中心に研究を進めた。結果は以下の通りである。 (1)に関しては、相変化材料Ge_2Sb_2Te_5を用いてナノ秒領域の2段階パルス印加実験を行い、印加電圧を一定とし、2段階目のパルス時間により抵抗制御できることが分かった。これは、結晶化領域がパルス時間で制御される。印加時間を50-400nsとすると、抵抗値が変わり、結晶化領域が徐々に広がると推測した。(2)、(3)に関しては、Multi-physicsプログラムを用いてジュール加熱による温度変化を計算し、相変化材料領域内の温度分布と抵抗変化から推測する結晶化領域よりTTT特性を予測することができた。(4)に関しては、短パルス印加時の電流モニターを行い、モニターはできるが定電流制御が難しいこと、目標抵抗に達したら電流印加あるいは電圧印加を中止する電流リミット制御方式を行うことが最適であることを見出した。(4)に関しては、相変化材料の一種であるInSbを対象に高温液体状態での電気伝導率や光学定数を測定した。InSbは固体時(融点以下)では狭ギャップ半導体であるのに対し、液体状態では金属であることが分かった。電子数密度は10^22個/cm^3に達し、その電気抵抗率は10^-4Ωcmであった。一方、Sb_2Te_3は、高温液体時にもp型の半導体で、固体時のp型半導体としての性質を保持していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の目標、(1)ナノ秒領域での階段パルスの第2パルスの時間幅による抵抗変化の計測、(2)階段パルス印加シミュレーションによるナノ秒時間領域、ナノメートル空間領域での温度変化の予測、(3)上記(1)、(2)より各種相変化材料の時間・温度特性(TTT特性)の計測、(4)階段パルスによるナノ秒領域抵抗過渡特性計測(抵抗モニター)法の確立(短パルス定電流制御あるいは電流リミット制御回路方式の予備実験)、(5)熔融状態の熱伝導率や電気伝導率測定のテストピースやその周辺技術の確立:プローブ形状、材質、コーティング材の検討、測定上の問題点抽出に対して、目標を達成することができた。特に、(1)に関して、投入エネルギにより抵抗値が変化し、これらから結晶化領域を見積もることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策)平成25年度は、次の項目を研究する。i)Ge_2Sb_2Te_5以外の相変化材料のTTT特性等の基礎データの取得(活性化エネルギ、結晶化障壁等の考察)、ii)ナノ秒領域階段パルスによる結晶化方式、定電流方式抵抗制御法の検討、iii)相変化抵抗制御のための電流リミット制御回路の研究開発、iv)相変化材料の温度依存性を考慮した加熱シミュレーション基本技術の研究開発、v)新規素子(相変化多値記録素子)の提案と試作、vi)SbTe以外の相変化材料の熔融状態での熱伝導率、電気伝導率測定技術の確立である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(次年度の使用計画)平成25年度は、相変化高速化を追求するため、Ge_2Sb_2Te_55以外の相変化材料の相変化特性を確認し、該材料の時間温度特性(TTT特性)得るための素子試作、ターゲット材購入などの材料費、機械部品、真空部品、計測用部品及びシミュレーションに係わるソフトウェアなどを購入、また、回路実験に伴う電子材料、電子部品の購入を行う。物品費で360万円計上した。旅費は、H24、25年度の成果を発表する予定等で海外出張費、国内出張費を約87万円計上した。実験及び計算に伴って、測定実験、シミュレーション、データ処理などの人件費、謝金を50万円計上した。その他、シミュレーションソフト、学会参加費、機器修理費などで100万円計上した。
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Research Products
(15 results)