2013 Fiscal Year Annual Research Report
相変化材料のナノ秒領域における高速結晶化温度特性の解明と多値記録への応用
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24360003
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
保坂 純男 群馬大学, 理工学研究院, 教授 (10334129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 正史 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門 メゾ構造制御グループ, 主任研究員 (60356954)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 相変化 / 結晶化 / 多値記録 / 階段パルス |
Research Abstract |
平成25年度は、①相変化材料のTTT特性等基礎データの取得、②ナノ秒領域階段パルスによる結晶化方式、定電流方式抵抗制御法の検討、③相変化抵抗制御のための電流リミット制御回路の研究開発、④相変化材料の温度依存性を考慮した加熱シミュレーション基本技術の研究開発、⑤新規素子(相変化多値記録素子)の提案と試作、⑥相変化材料の熔融状態での熱伝導率、電気伝導率測定技術の確立である。主な成果は以下の通りである。 ①、②に関しては、相変化材料Ge2Sb5Te5を用いてナノ秒領域の2段階パルス印加実験を行い、一段目および2段目の印加電圧を一定とし、2段階目のパルス時間50-400nsでの抵抗変化を計測した。これは、パルス時間で結晶化温度が変化し、抵抗をランダムに制御できた。これ以外に、第2パルス電圧制御により結晶化温度が制御でき、多値記録が可能になることを見出した。④に関しては、Multi-physicsプログラムを用いて階段パルスによるジュール加熱時の温度変化を計算した。上記の相変化材料領域内の温度分布と抵抗変化からの結晶化領域よりTTT特性を予測すると、50nsでは、結晶化温度が約730K、100nsでは葯590K、200nsでは約540K必要であることが分かった。現在、GeTeについて素子試作が完了し、階段パルス印加実験で相変化できることまで確認している。②、③に関しては、短パルス印加時の電流モニターを行い、定電流制御方式を止め、リミッタ回路で対処した。⑤に関しては、ジュアルタイプあるいはマルチタイプの相変化抵抗素子構造を提案し、階段パルスの電圧制御方式の多値記録素子を提案試作した。⑥では、熔融状態での熱伝導、電気伝導率測定技術を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の目標は、i)GeSbTe以外の相変化材料のTTT特性等基礎データの取得、ii)ナノ秒領域階段パルスによる結晶化方式、定電流方式抵抗制御法の検討、iii)相変化抵抗制御のための電流リミット制御回路の研究開発、iv)相変化材料の温度依存性を考慮した加熱シミュレーション基本技術の研究開発、v)新規素子(相変化多値記録素子)の提案と試作、vi)SbTe以外の相変化材料の熔融状態での熱伝導率、電気伝導率測定技術の確立である。これに対して、以下のような主な成果を得た。i)ではGe2Sb2Te2のナノ秒領域結晶化温度特性について予測できたこと、GeSbTe以外の相変化材料として、GeTeの相変化素子試作と階段パルスによる基礎特性の取得まで可能になったこと、ii)ではGe2Sb2Te2とGeTeを用いた相変化素子を試作し、階段パルスによる抵抗変化を可能にし、ナノ秒領域の時間制御以外に、第2パルス電圧により抵抗制御が可能となった。電圧制御方式の確立、iii)リミッタ回路による電流制御回路の可能性を見出したこと、さらに、v)マルチ方式多値記録素子構造の提案と試作、電圧制御方式の可能性を見出した。これらにより、研究状況は概ね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、次の項目を研究する。i)GeSbTe、GeTeの相変化材料違いによる高速結晶化温度特性、TTT特性等基礎データの取得、ii)ナノ秒領域階段パルスを用いた多値記録方式、結晶化方式の実現、iii)GeSbTe、GeTeの相変化材料の階段パルス加熱シミュレーション、iv)相変化多値記録素子の試作と評価、v)相変化記録と相変化材料ナノ構造と関係を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度後半に研究を加速するため、ポスドク雇い入れを考えていたが、研究に適した人材が見つからなかったため、H26年度に持ち越し、H26年度初期から1年間、雇い入れを行い、研究の加速を行うこととした。 H26年度に考えていたポスドク雇い入れの費用と昨年度から繰り越した額を合算して、約400万円の費用をポスドク1人に充てることにした。
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