2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24360026
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 康志 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (60294047)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 金属ナノクラスター / 光物性制御 / 蛍光プローブ / プラチナ原子 / バイオイメージング |
Research Abstract |
蛍光の長波長化を目指し、高分子の一種であるポリエチレンイミン(PEI)をナノクラスター合成のテンプレートとして用いることで、クラスター構成原子数の増大を図った。六塩化白金酸(H2PtCl6)溶液と超分岐ポリエチレンイミン溶液を純水中で混合し、白金錯体をポリエチレンイミン中で形成した後、アスコルビン酸により還元し、白金ナノクラスターを合成した。この際、白金イオンと還元剤であるアスコルビン酸のモル比を1:5、1:20、1:25と変えることで、合成後の蛍光のピーク波長が465nm、530nm、560nmと変化することを見出した。これまでのポリアミドアミン(PAMAM)をテンプレートとして用いて合成した場合にと比べて、黄色の蛍光(560nm)を有する白金ナノクラスターをはじめて合成することに成功した。 つぎに、合成した白金ナノクラスターの機能性について検討を行った。黄色性白金ナノクラスター(560nm)溶液の水素イオン指数(pH)を変化させながら、蛍光スペクトルを測定したところ、発光ピーク波長はpHに依存することなく一定であった。一方、蛍光強度はpHに依存し、pHが低くなると蛍光強度が上昇し、pHが高くなると蛍光強度が減少した。とくに、pHが4以下のとき蛍光強度が急峻に上昇したことから、強酸下でのpHセンサーとしての利用が可能であることが示唆された。 さらに、白金性ナノクラスター溶液内に各種金属イオンを加えたところ、カルシウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、白金イオン等では蛍光強度に変化がない一方、コバルトイオンおよび銅イオンでは蛍光が減少することを見出した。このことから、蛍光強度の変化からコバルトイオンおよび銅イオンを定量的に検出する試薬として利用することができる。とくに、コバルトイオンでは検出限界が500nMを達成している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに合成場としてPEIを用いたことで、蛍光ピーク波長を560nmにまで拡張することに成功した。また、白金ナノクラスターがpHセンサーおよび金属イオンセンサーとしての機能を有することについても実証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
分子量を増大したPEIによる合成などを行い、蛍光の更なる長波長化を目指すとともに、詳細な合成過程や構造等を各種分光法や透過型電子顕微鏡などを用いて、解明していきたい。また、白金の触媒能を蛍光によりプローブするなどの機能化についても引き続き検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ナノクラスター合成に注力し、ナノクラスターの物性評価については従来の方法のみで対応していたことから、当初予定よりも使用額に差額が生じた。また、旅費についても当初計画から変更したため、差額が生じた。 ナノクラスターの物性評価のため、光学部品・機器等の購入、委託分析などを推進していく予定である。
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