2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24360034
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
巨瀬 勝美 筑波大学, 数理物質系, 教授 (60186690)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | MRI / 高温超伝導 |
Research Abstract |
1. 高温超伝導バルク磁石磁場均一性の改善:昨年度までの高温超伝導バルク磁石は,内径28mmの高温超電導体を6段積層することで構成されていた.しかしながら,高温超電導体自体に常磁性体が存在するため,着磁の際にこれらを高磁場中に配置すると,高温超伝導体自身が磁場分布を乱してしまうという問題があった.そこで,我々は,積層されている6段の内の中4つの高温超伝導体の内径を,28mmから36mmに拡大した.これによって,常磁性体の影響を小さくすることに成功した.実際に着磁実験を行い,静磁場均一性を計測したところ,昨年度までの磁石で達成した磁場均一度(31.2ppm)よりも4割程度改善(18.8ppm)することがわかった. 2. 高温超伝導バルク磁石における勾配磁場の影響:高温超伝導バルク磁石を用いてMRIを撮像するにあたって,MRIにて位置情報を付加する目的で用いられている勾配磁場コイルの効率が,予測よりも小さくなってしまう問題を発見し,Physica Cに論文発表を行った.この問題は,高温超伝導体のマイスナー効果によって発生する問題であると考えられる.また,バルク磁石を構成している材料(アルミ等)による渦電流の効果が非常に大きいことが実験的に判明し,渦電流抑制に向けたハードウェア(アクティブシールド等)・ソフトウェア(パルスシーケンスの改善等)の改善を行った. 3. 高温超伝導バルク磁石のシーケンス:高温超伝導バルク磁石で目標とする分解能が高いため,通常のシーケンスを用いた撮像ではSNRの不足という問題が発生する.そこで,本年度では,圧縮センシングを用いたシーケンスを開発して単位時間あたりのSNRの改善を行った.実際に圧縮センシングのシーケンスをシステムに適用したところ,単位時間あたりのSNRは約二倍に改善した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.バルク超伝導磁石による勾配磁場のスクリーニング効果について,計算機シミュレーションと実験により,そのメカニズムを解明する.→有限差分法を用いた解析を行った. 2.スプリット型バルク超伝導磁石に対応した,マイクロスコーププローブを開発し,比較用の従来型超伝導磁石を用いて性能評価を行い,さらに,バルク超伝導磁石による評価を行う.→磁石内径を大きくすることにより,静磁場均一性を向上させる方向に,研究がシフトしたため,これに関しては,今後取り組む予定である. 3.省スペース・高効率勾配磁場コイルの開発を行うために,平板を用いた勾配磁場コイルの設計手法を開発する.→ターゲットフィールド法を用いた設計手法を開発した. 4.スプリット型バルク超伝導磁石の磁場分布を広い範囲で計測するため,ホール素子を用いた自動計測システムを開発する.→完成した. 5.MRIにより静磁場分布を計測することにより,着磁プロセスを評価し,着磁方法の最適条件を探索する.→達成した.6.化学固定マウスの撮像により,システム全体の評価を行う.→システム未完成のため,達成せず.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,スプリット型ではなく,円筒型のバルク超伝導磁石における静磁場均一化が,中心的課題となっている.ただし,スプリット型に関しても,新しいアイデアによって静磁場均一化の見通しが得られつつあるので,プローブの開発などを行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3月中に経費の執行はしたが、支払いが4月になったため。 4月中に決済される予定である。
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Research Products
(5 results)