2013 Fiscal Year Annual Research Report
二次元ダークフリンジ法による球体直径測定原理開発とアボガドロ定数精密決定への応用
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24360037
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
倉本 直樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (60356938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 弘之 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (30357917)
早稲田 篤 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (20272172)
水島 茂喜 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (60358091)
東 康史 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (30356365)
藤井 賢一 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究科長 (50357901)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 標準 / 基礎物理定数 / 光周波数制御 / 超精密計測 / アボガドロ定数 |
Research Abstract |
アボガドロ定数は重要な基礎物理定数であり、シリコン単結晶の密度、モル質量、格子定数の測定から求められる。近年、質量の単位であるキログラムの基礎物理定数による再定義のために、非常に高精度なアボガドロ定数測定が求められている。アボガドロ定数測定高精度化においては、密度測定のためのシリコン単結晶球体体積測定高精度化が支配的な役割を果たす。そこで本研究では次の二つを目的とする。 1.新たな球体直径測定原理(二次元ダークフリンジ法)に基づく、シリコン単結晶球体体積高精度測定用レーザー干渉計開発 2.アボガドロ定数の世界最高精度(2×10-8)での決定 これらの目的のために以下の項目を平成25年度に実施した。 1.二次元ダークフリンジ法による球体直径測定原理開発:平成24年度に購入した高速度カメラにより干渉縞をとりこみ、二次元ダークフリンジ法に必要な予備データの取得を行った。また、新たな干渉縞解析法による球体体積測定高精度化およびアボガドロ定数決定への影響をまとめ、第34回日本熱物性シンポジウムで発表した。2.アボガドロ定数決定に必要な各測定の精度検証:平成26年度に実施する予定のアボガドロ定数決定のための28Si単結晶球体の体積測定、質量測定、表面分析及び格子定数均一性評価に備え、自然同位体比Si単結晶球体を導入し、各測定の精度検証を行った。格子定数均一性評価については高精度温度計などを導入し、測定精度を大幅に向上させた。シリコンウェハーの格子定数均一性を評価し、高エネルギー加速器研究機構第31回PFシンポジウムで発表した。3.28Si単結晶球体測定スケジュール調整:アボガドロ定数高精度測定に必要な28Si単結晶球体は国際研究協力「アボガドロ国際プロジェクト」の所有物である。研究協力参加機関と交渉し、28Si単結晶球体を用いた産業技術総合研究所での測定を平成26年度に実施するよう調整した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二次元ダークフリンジ法による球体直径測定原理開発には、干渉縞を高速度かつ低ノイズに撮像するカメラが必須である。平成24年度に購入した高速度カメラを直径測定システムにすでに組み込んでおり、高速度カメラの制御および干渉縞の撮像が可能となっている。二次元ダークフリンジ法に必要なデータの予備的取得もすでに行っている。直径測定高精度化に必要な光学部品の最適化に関しては、最適なウエッジ角を持つ光学部品の仕様の検討を行い、平成26年度早々に光学部品の調達を実施できる状態となっており、おおむね順調に進展している。 平成26年に実施予定のアボガドロ定数測定に必要な28Si同位体濃縮単結晶球体の体積測定、質量測定、表面分析及び格子定数均一性評価の準備および測定精度検証も順調に進めることができた。新たに購入した自然同位体比Si単結晶球体を用いることで、大幅に測定精度検証を効率化することができた。 28Si単結晶球体測定スケジュールについては、国際研究協力「アボガドロ国際プロジェクト」の参加機関である海外の国立標準研究機関と交渉し、28Si単結晶球体を用いた産業技術総合研究所での測定を平成26年度に実施するよう調整することができた。これにより平成26年度中にアボガドロ定数決定に必要なすべての測定を完了できるめどがたった。
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Strategy for Future Research Activity |
球体体積測定高精度化に関しては、二次元ダークフリンジ法による測定システムの構築および特殊光学部品の発注をすませ、高精度球体直径測定を実現する。 アボガドロ定数決定のために、平成26年度中に28Si同位体濃縮球体を用いた球体体積、質量、表面分析、格子定数分布測定を実施する。アボガドロ定数決定結果および各測定の詳細を論文としてまとめ投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ダークフリンジ法による球体直径測定高精度化に必要な特殊光学部品の仕様の決定に予想以上に時間がかかり、最終的な仕様の決定が平成25年度末となった。このため、当該助成金の繰り越しが必要となった。 すでに特殊光学部品の仕様は決定済みであり、平成26年度早々に調達手続きを開始する予定である。平成26年8月には納品予定であり、ダークフリンジ法による球体直径測定システムに組み込み、球体直径測定高精度化を実施する。
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Research Products
(10 results)