2013 Fiscal Year Annual Research Report
減災分野等極限環境用ロバスト圧電センサ・アクチュエータの創製
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24360043
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
浅沼 博 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40167888)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 構造・機能材料 / 複合材料・物性 / 先端機能デバイス / 知的材料・構造システム / センサ / アクチュエータ / 圧電セラミックス |
Research Abstract |
1)界面層形成・接合法によるPiezo-Alの破断ひずみ・出力電圧の顕著な向上のメカニズム解明と最適デバイス化 界面層形成・接合法を用いることにより、圧電ファイバには高い圧縮熱残留応力が作用することが明らかとなっている。この圧縮応力が出力電圧特性に及ぼす影響を調べるため、熱処理および機械加工によりそれを緩和するという実験を試み、それらが出力電圧特性に影響を及ぼすことを明らかにした。 2)センサ・アクチュエータ特性の詳細評価 これまでセンサ・アクチュエータ特性の評価は主に振動試験により行ってきたが、この振動試験システムを改良し,従来の3倍のひずみを負荷することを可能とし、また、加振周波数帯域を2倍に向上させた。この試験システムによりセンサ特性を評価した結果、高ひずみ領域でも線形性を維持できることが明らかになった。 3)マトリックス材の高強度化および圧電ファイバの高繊維体積率化による特性向上検討 これまで純アルミニウムであったマトリックス材を超ジュラルミンに置き換えることを試み、圧電ファイバを機械的・化学的に損傷することなく複合化することに成功した。その結果、引張強さは400 MPa弱に達し、脆弱な圧電ファイバがその引張強さに及ぼす悪影響はほとんど無視できるレベルであることが明らかになった。また、さらにエネルギーハーベストデバイスの開発に向け、圧電ファイバの高体積率化について検討するため、光ファイバを用いたモデル実験を行った。その結果、体積率を0.55%から17%へと向上させる目処が立った。その出力電力はワイヤレス通信モジュールの駆動が可能な数十mWレベルに達すると見積もれるため、それを実現できる見通しが立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
破断伸び向上のメカニズム解明が遅れぎみであるが、全体的には順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
高体積率化デバイスでのエネルギーハーベストを行い、ワイヤレスひずみセンサの実現を試みる。また、圧縮応力と出力電圧との関連性を、結晶方位解析および残留分極測定より明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
界面層形成・接合法によるPiezo-Alの破断ひずみおよび出力電圧向上のメカニズム解明に関して進捗が遅れたことが原因である。この遅延は、当初は破断ひずみおよび出力電圧特性に大きく影響を与える圧縮応力が圧電ファイバに負荷された際に結晶の配向が生じ、その結果出力電圧特性が変化することが考えられた為、結晶方位解析を行うためのイオンスライサによる試験片の加工条件および電子線後方散乱回折法(EBSD)の観察条件の適正範囲の設定に予定を越える時間を要した為である。これらのことにより、本来当該年度に購入し、評価に用いる予定であったアコースティックエミッション(AE)センサ、AEセンサ用アンプなどの測定機器の導入が遅れ、繰越金が生じた。 上記理由に記したように、AEセンサおよびAEセンサ用アンプを購入する。圧電ファイバがアルミニウム中に複合化されているため、直接破断ひずみの測定は不可能であるため、これらのAEセンサ類を用いて、引張試験中にどのひずみで圧電ファイバが破断しているかを確認する。また、引張試験と同時に圧電ファイバから得られる出力電圧を観測し、AEセンサから得られる信号との関連性を調査し、本複合材料そのものを寿命予測型センサとしての可能性を検討する。この際、引張試験は通常数mm/minの速度で行われるため、圧電ファイバからの出力がリークし、従来用いてきた測定器では計測できない可能性があるため、入力インピーダンスの高いチャージアンプとデータ記録用のデータロガーを購入する予定である。
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Research Products
(17 results)