2013 Fiscal Year Annual Research Report
確率的マルチスケール法の理論体系化と応用探索ならびに実用的システム開発
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24360047
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高野 直樹 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10206782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 哲也 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 准教授 (90345926)
田原 大輔 龍谷大学, 理工学部, 講師 (20447907)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マルチスケール法 / 確率均質化法 / 多孔質材料 / ミクロ構造設計 / 画像相関法ひずみ計測 / 海綿骨 / 個体差 / 不確かさ |
Research Abstract |
昨年度にヒト椎体海綿骨に対して開発した確率均質化法を、一般的なミクロ構造モデルに適用できるよう、理論を修正した。ミクロ応力の確率分布に関する予備解析ならびに計算理論の考察を行い、多孔質材料とヒト下顎海綿骨に適用した。多孔質材料の成形に起因する球状気孔の幾何的ばらつきがマクロ特性に与える影響が大きいこと、ミクロ応力にはさらに大きなばらつきが出ることを定量的に示した。下顎海綿骨については、口腔インプラント手術時のドリリング荷重の患者別個体差をシミュレーションする手法を確立した。計算された荷重を装置にて再現し、臨床歯科医により臨床例と近い力覚が得られることを実証した。さらに、確率均質化法を多孔質材料のミクロ構造設計に適用する手法と事例解析を行った。さらに多相の複合材料へ拡張可能なソフトウェアを開発した。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の成形法、成形条件に起因する疲労強度のばらつきについて情報収集を行った。 画像相関法(DIC)ひずみ計測システムを用いた実験を行い(試験総数は約100)、レーザ加工機によるわずかな加工誤差、チャッキングの影響およびDIC用のスプレーテクスチャの濃淡が試験結果のばらつきに与える影響を調査した。プレートフィン型平板については、実験とシミュレーションの比較も行った。 モンテカルロシミュレーションに関しては、低頻度の事象を効率的かつ漏れなく予測する数理手法ならびにソフトウェアを開発した。また、Windows8タブレット上の実用的ソフトウェア開発に向け、変形図、応力図のGUIとポストプロセッサを開発した。上記の歯科医による試用も行い、良好な評価を得た。 普及活動として2013年12月にシンガポールで開催されたAPCOM2013にてミニシンポジウムを企画し、研究メンバーを含め8件の発表があり、多くの聴講者を得て活発な討論がなされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に計画した、確率均質化法の多孔質材料、ヒト海綿骨への適用および多孔質材料のミクロ構造設計への応用と、画像相関法によるひずみ計測システムを用いた実験とシミュレーションとの比較、モンテカルロシミュレーション、実用的ソフトウェア開発のいずれの項目も予定通り進展した。チーム内でも、工業材料は研究分担者:松田と、生体力学は研究分担者:田原と具体的な共同研究を実施した。特に、松田とは画像相関法ひずみ計測システムを用いた実験を共同で実施し、成果を得ることができた。田原とは、生体の個体差を考慮した確率的マルチスケールシミュレーションを共同で実施し、開発した手法の基本的な有効性を検証することができた。2013年12月に開催した国際会議APCOM2013のミニシンポジウム企画「Uncertainty modeling for composite materials and biological tissues」でも好評を得た。平成26年6月開催の国内講演会でもオーガナイズドセッションを企画した。研究推進とその成果の情報発信をバランス良く並行して進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究について、平成25年度は3大学間での連携体制も確立し、当初計画通りに成果が得られたため、次年度は計画推進とともにCFRPへの応用を具体化すべく、産官学が集まる研究WGを組織し、さらに研究の活発化と普及に力を注ぐ。 予算について、直接経費次年度使用額55,935円は国際会議出張費(航空運賃)の見込額との差によるものであり、平成25年度の執行は計画通りと言える。次年度の使用計画にも変更は生じていない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費次年度使用額55,935円は国際会議出張費(航空運賃)の見込額との差によるものであり、平成25年度の執行は計画通りと言える。 次年度使用額はわずかなものであり、次年度の使用計画にも特段の変更は生じていない。
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Research Products
(19 results)