2014 Fiscal Year Annual Research Report
確率的マルチスケール法の理論体系化と応用探索ならびに実用的システム開発
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24360047
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高野 直樹 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10206782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 哲也 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 准教授 (90345926)
田原 大輔 龍谷大学, 理工学部, 講師 (20447907)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マルチスケール法 / 確率均質化法 / モンテカルロ法 / サンプリング法 / 画像相関法 / 多孔質材料 / 複合材料 / 生体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
[1] 確率均質化法の開発と不均質材料への適用: 不均質材料の一般的な確率的マルチスケールモデリングの理論的体系化を完成し、多孔質材料の解析は市販ソフトウェアVOXELCONでの実行が可能となったほか、実験データが与えられた場合の確率予測更新手法も提案した。コーティング層を有する粒子分散型3相複合材料の解析では、確率的感度解析に基づくミクロ構造設計法を提案した。 [2] 確率均質化法の生体力学問題への適用と検証法の検討: 口腔インプラント手術時のドリリング荷重の予測において、偶発症の事例を含み、個体差に起因する大きなばらつきの予測と検証用の力覚体感装置を開発した。 [3] 画像相関法によるひずみ計測とシミュレーションの連携: 多孔平板の引張試験において、画像相関法により加工誤差ならびに初期破壊荷重を計測し、モンテカルロシミュレーションにより初期破壊荷重のばらつきの予測に成功した。また、積層ずれを有する多孔平板の引張問題において、均質化モデリングの妥当性確認を行うことができた。 [4] 応用探索: 平織GFRPのハンドレイアップ成形による積層板を対象とし、成形パラメータとミクロ構造の代表寸法パラメータの定量的統計量の取得を行い、[1]で開発したモデル化手法の応用が有用であることを示した。 [5] モンテカルロシミュレーション法に関する研究: 裾野確率に焦点を当てたサンプリング法としてSLS法を確立した。多パラメータを考慮した[3]の多孔平板の引張試験における初期破壊荷重のばらつきの予測に成功した。(高野・松田) [6] 普及活動: 日本計算工学会に不確かさのモデリング・シミュレーション法に関するWGを設置し、活動した。同学会計算工学講演会と日本学術会議安全工学シンポジウムでOSを開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず、主眼の確率均質化法を核とした確率的マルチスケールモデリング法について、素材の特性のばらつきの体系的な分類と定式化ならびにプロトタイププログラムを完成することができた。特に、多孔質材料の解析は市販ソフトウェアVOXELCONでの解析を可能とし、実用的システム開発の計画を達成することができた。さらに、確率的感度解析の手法とミクロ構造設計への応用、ならびに、設計後に得た実験データに基づく確率予測の更新とモルフォロジーの予測の手法も提案することができた。画像相関法を用いた研究も進展し、独自のサンプリング法を用いたモンテカルロシミュレーションにより、多孔平板の引張試験における初期破壊荷重のばらつき予測に成功したほか、シミュレーションとの連携の基盤も構築することができた。応用探索として取り組んだ平織GFRPにおいては、成形プロセスパラメータを考慮した確率的マルチスケール法への発展の基礎を築くことができ、成形プロセスシミュレーションとの連携の展望を描くことができた。学会での普及活動も活発に行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる次年度は、3相複合材料の事例として、コーティング層を有する球状粒子分散材、繊維強化型複合材料への適用に注力する。後者は特に、今年度得た知見に基づき、成形プロセスパラメータを考慮した確率的シミュレーションへと発展させる。VOXELCONによる確率的シミュレーションは、生体力学分野への応用を通じて完成度を高める。独自のサンプリング法については、乱数発生アルゴリズムを改良し、さらなる高精度化を図る。普及活動についても活発化し、研究成果をまとめて発表する機会を多く設ける計画である。
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Causes of Carryover |
国際会議の旅費が計上した額よりわずかに安価であったためであるが、その差はわずかである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究打合せのための海外出張を計画しているため、その旅費にあてる。
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Research Products
(31 results)