2013 Fiscal Year Annual Research Report
材料・力学メタモデル構築によるスプリングバック補正プレス金型の最適設計
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24360056
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 総仁 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50016797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 隆太郎 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10283160)
濱崎 洋 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30437579)
上森 武 近畿大学, 工学部, 准教授 (70335701)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 板材成形 / スプリングバック / プレス金型 / メタモデル / 最適設計 |
Research Abstract |
自動車車体の衝突安全性と軽量化の観点から,超高張力鋼板やアルミニウム板が多く使われるようになってきた.このような金属板材のプレス成形では,10数mmにも及ぶ大きなスプリングバック(金型から成形品を取出したときに発生する弾性回復)に悩まされている.本研究では,CAE(FEMシミュレーション)によって,スプリングバック後のパネル形状が目標形状に一致する最適金型設計を行うシステム(ソフト)の構築とその実験検証を目的としている.本研究の特徴は,スプリングバック解析のためのメタモデル(物理現象を反映させた簡易モデル)を新たに考案し,それを利用することにより,高速で最適化計算ができるようにする点にある.メタモデルは,①材料モデル,②スプリングバック解析モデル(力学モデル)の二種類のものより成る. 本年度では,新しい材料モデルとして,異方性も考慮した簡易解析用モデルの開発を行った.高張力鋼板を用いた材料試験を実施し,そのときの応力-ひずみ応答の実験結果とモデル計算結果を比較することにより,その精度および特性の検証が行われた.また,スプリングバック抑制のための工法と金型形状について検討し,決め押しと底板突き上げを組み合わせた方法が有効であることを明らかにした.そのための金型基本形状について検討を行い,パンチ頭部の凹みがスプリングバック抑制や底板の平坦度に大きく影響することが明らかとなった.についても検討を行った.この結果を次年度に引き継ぎ,最適金型形状の決定を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
材料モデルについては簡易解析に使える2パラメータモデルのプロトタイプに異方性を考慮できる枠組みが考案され,その精度および特性の検証が行われた.また,金型の高剛性・軽量化を目指すトポロジー最適化の枠組みを構築し,いくつかの金型について検討した結果,従来の経験的設計のものより性能が上回る金型形状を決定できることがわかった.スプリングバックについては,U曲げ問題について,それを抑制・補正するための工法と金型基本形状を明らかにできた.以上のように,材料メタモデル構築,スプリングバック抑制・補正のための金型最適化の研究において順調な進展があった.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,自動車産業でその対策に苦慮している高張力鋼板のスプリングバック抑制・補正問題を取り扱う.その代表的な例題として,U曲げにおけるスプリングバック解消を新しい工法で実現するための金型+プロセスパラメータの最適化を目的とする.これは以下のスキームで行う. 1.カウンターパンチによる板底部の追加曲げと曲げコーナー部の決押しという新しい工法を採用する. 2.この工法における最適金型形状+プロセスパラメータ(決め押しパンチ力,カウンターパンチ力)を最適化問題として決定する.すなわち,①金型の形状を代表するパラメータを設計変数として定義,②成形パネルの目的形状とスプリングバック後のパネル形状の差を目的関数として定義,③制約条件として,板厚減少,パンチ荷重を一定以下に抑える.この最適化問題をメタモデルを用いて高速に解く. 3.最適化で得られた金型を試作し,高張力鋼板(780MPaおよび980MPaレベル)によるU曲げ実験を行い,本手法の妥当性(スプリングバック解消)を確かめる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度ではソフトのレンタル費を中心に1190千円見込んでいたが,そのほとんどを別経費より支出することができたため,その分を物品費で814千円,旅費に361千円計画より多く支出したが,人件費・謝金の支出が計画では200千円であったものが未執行であったため,結果として167千円を次年度に繰越すこととなった. H26年度は,補助金+基金助成金を合わせて,物品費1667千円,旅費1200千円,人件費・謝金200千円,その他(ソフトのレンタル費)600千円で計画している.物品費の主なものは金型製作と試験片などの消耗品であり,旅費はICTP2014,AEPA2014への参加とともに国内の主要学会(日本塑性加工学会,日本鉄鋼協会など)への出席(いずれも成果発表および情報収集)を予定している.
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Research Products
(9 results)