2012 Fiscal Year Annual Research Report
磁気浮上補助人工心臓における軸受性能と血液損傷のバランス設計
Project/Area Number |
24360059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
進士 忠彦 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (60272720)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 磁気軸受 / 遠心ポンプ / 血液ポンプ / 数値流体力学 / 2次流れ / 溶血 / 血栓 / PIV |
Research Abstract |
本研究計画は,申請者が考案した磁気軸受搭載の遠心血液ポンプを対象に,軸受隙間の変化が,そのポンプ基本特性,軸受特性,血栓・溶血特性に与える影響を明らかにし,三つの性能を総合的にとらえた血液ポンプ設計法を構築することを最終目的としている.その実現のため,ポンプ単体および生体心臓の補助循環を模擬した状態での,数値流体解析や流体計測を実施する.また,これらの結果と,既に実施済みの動物実験での血栓・溶血が発生したポンプ状況を比較,検討することを目的としている. H24年度は,1)磁気軸受を搭載した血液ポンプの数値流体力学解析を実施し,遠心ポンプ外周部からバランスホールに環流する2次流れの様子を明らかにした,2)血液ポンプの2次流れを観測するための,計測に適した磁気浮上搭載の使い捨て遠心血液ポンプを新たに設計・試作した,3)上記ポンプを計測対象に,高速度カメラを用いたトレーサの追跡により,2次流れにおける定性的な実験と数値解析の一致を確認した,4)H25年度に予定している拍動試験などの準備も前倒しして,実施することができた. 一方,残された課題として,本年度試行したParticle Image Velocimetry(PIV)法では,トレーサへの照明の制限からポンプの軸方向の速度分布が精度よく計測できない問題があり,ポンプ側面からレーザシートを照射可能なように,光路を確保するためのポンプの設計変更が必要なことが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載したH24年度研究計画の6項目すべてに着手し,一定の成果は得ることができた.また,前倒しして,拍動実験などの準備も進めることができた. 来年度以降は,流体の計測精度を改善するためポンプおよび計測系の改良や,解析モデルのパラメータを変更した数値解析を実施し,データの蓄積を目指す.
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Strategy for Future Research Activity |
より高精度なポンプ内の流速計測を行うため,光路確保ためのポンプおよびPIV法の改良を検討している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画当初購入予定であった超音波流量計は,退職教員からの譲渡があり,購入が不要となった.基金による繰り越し金として,当初予定よりも支出が増加するPIVシステムの構築のためH25年度に活用する.
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