2013 Fiscal Year Annual Research Report
磁気浮上補助人工心臓における軸受性能と血液損傷のバランス設計
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24360059
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
進士 忠彦 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (60272720)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 血液ポンプ / 磁気軸受 / 溶血 / 血栓 |
Research Abstract |
心疾患患者の長期補助循環を目的とした体内埋込み型遠心血液ポンプ(補助人工心臓)において,磁気軸受や動圧軸受を搭載したものが,実用化されている.これらのポンプでは,剛性・減衰性の小さな非接触軸受で羽根車を支えるため,羽根車の浮上安定性,回転精度の確保が重要課題である.さらに,回転部と固定部の軸受隙間に,ポンプの運転状態や,生体心臓の回復状況により流量が変化する血液が流れるため,それが軸受性能のみならず,溶血や血栓などの血液ダメージに密接に関連する.この点が,血液ポンプの開発を,産業用ポンプと異なり,格段に難しくしている.本研究では,軸受隙間の変化が,ポンプ基本性能,軸受性能,溶血・血栓性能(血液損傷)の三つの性能に与える影響を考慮した高信頼血液ポンプの設計法(バランス設計)の確立を目指す. その実現のため,①ポンプ単体および生体心臓の補助循環を模擬した状態での,数値流体解析や流体計測を実施する.また,②これらの結果と,既に実施済みの動物実験での血栓・溶血が発生したポンプ状況を比較,検討する.さらに,最後に,③これらの設計法に基づいた磁気浮上遠心血液ポンプを新たに試作・評価し,設計法の有効性を検証する. 以上に対して,H24年度までに①,②の研究項目のうち,拍動状態での解析・計測を除き,ほぼ実施し,その過程で,従来のインペラ外周に磁気軸受,インパラ内周にモータまたは磁気カップリングを配置した血液ポンプの2次流れの問題点を明らかにした.この問題を解決するため,H25年度の研究では,外周に磁気軸受および磁気カップリングを配置した血液ポンプを提案,試作し,定常流試験から拍動試験を完了した.また,外周の磁気軸受と磁気カッププリングの機能を一体化したベアリングレスモータの開発も実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存の磁気浮上遠心血液ポンプ内の溶血・血栓に関わる2次流れの問題は,H24年度の研究でほぼ確認でき,H25年度では,その問題点を解決するための,磁気浮上ポンプのための磁気浮上,トルク伝達機構の試作やそれらを用いた血液ポンプまで,研究を進めている.但し,H24,25年度で,流体計測,解析が不十分な部分は,H26年度でも引き続き,ポンプ試作,評価を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
申請通り,軸受隙間の変化が,そのポンプ基本特性,軸受特性,血栓・溶血特性に与える影響を明らかにし,三つの性能を総合的にとらえた血液ポンプ設計法(バランス設計法)を構築していく.その具体的な例として,新しい血液ポンプの試作と実験による評価を進めていく.また,最終年度の研究として,H24,25年度の研究で,不足している部分を補強していく.また,本研究を遂行していく途中で,本研究が対象としている磁気浮上血液ポンプを用いた新たな流体推定法や血液粘度法の発想を得た.この点も,追加項目として検証を進める予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入を検討していた流体計測機器が,学外からの借用によって対応できた.また,流体解析のためのソフトの購入を予定していたが,大学の所有するソフトの転用が可能であったため,その部分に余裕ができた. 当初予定していた解析,計測を越える機器の購入と,遠心血液ポンプの試作が当初予定より進んだため,その試作費に当てる.
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[Journal Article] New Generation Extracorporeal Membrane Oxygenation With MedTech Mag-Lev, a Single-Use, Magnetically Levitated, Centrifugal Blood Pump: Preclinical Evaluation in Calves2013
Author(s)
Tatsuki Fujiwara, Eiki Nagaoka, Taiju Watanabe, Naoto Miyagi, Takashi Kitao, Daisuke Takota, Taichi Mamiya, Tadahiko Shinshi, Hirokuni Arai, Setsuo Takatani
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Journal Title
Artificial Organs
Volume: 37
Pages: 447-456
DOI
Peer Reviewed
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