2013 Fiscal Year Annual Research Report
複合型アクチュエータの開発に伴う総合的評価システムの構築
Project/Area Number |
24360074
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
本阿弥 真治 東京理科大学, 工学部, 教授 (30089312)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元祐 昌廣 東京理科大学, 工学部, 講師 (80434033)
佐野 正利 千葉工業大学, 工学部, 教授 (20117708)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | アクチュエータ / 能動制御 / 剥離流れ / 複合型アクチュエータ / 評価基準 |
Research Abstract |
以下の研究成果を得た. 1. 複合型アクチュエータの基本特性 受動デバイスである渦発生器を上流,そして能動デバイスであるシンセティックジェットを下流に配置した複合型アクチュエータを基本形とした複合型アクチュエータを十分発達した平行流路に設置し,三次元計測が可能な画像処理流速計を用いて,アクチュエータにより誘起された流れ場の速度三成分を求め,流れの渦構造とアクチュエータの駆動条件の関係を明らかにした.基本複合型アクチュエータにより誘起される渦同士がどのように干渉するかを調べ,そして詳細な三次元渦構造と循環値との関係を明らかにした.その結果,複合型アクチュエータを採用することにより,壁面への付着性に優れた渦構造を有する周期的な誘起流れを得ることに成功した. 2. 剥離流れへの応用 剥離流れが存在する片開きディフューザ流れと後方ステップ流れを制御対象に選び,受動型アクチュエータとして渦発生器とタブ(突起構造片),能動型アクチュエータとしてシンセティックジェットからなる複合型アクチュエータを用いて,剥離抑制の効果を流れの可視化と壁面静圧回復係数から確認した. 3. プラズマアクチュエータによる剥離流れへの応用 プラズマアクチュエータのベース周波数やバースト周波数,駆動電圧がアクチュエータ周りの誘起流れに及ぼす影響を明らかにした.さらに,十分発達したチャネル流れ、ならびに剥離を伴う後向きステップ流れ、分岐流れなどを対象として実験を実施し,各種の駆動条件のもとで、剥離流れの制御効果を明らかにした. 4.総括 各種アクチュエータを剥離点が固定した後方ステップ流れや分岐流れと剥離点が揺動する片開きディフューザ流れに適用した結果,剥離せん断層の成長が促進し,流動特性の改善に大きく貢献することが判明した.以上の成果を学術雑誌ならびに学術講演会にて発表した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プラズマアクチュエータに関しては,各種パラメータにおける誘起流れの基本特性を明らかにし,さらに,後方ステップ流れや分岐流れにプラズマアクチュエータを設置した場合の剥離抑制効果や流れの渦構造に及ぼす影響を実験により明らかにする研究成果が得られた.しかし,受動型アクチュエータを組み込んだ複合型アクチュエータに発展させて,剥離流れに適用するには至らなかった.その理由は,プラズマアクチュエータの駆動条件,形状,材質の影響が多岐に亘り,設計指針が必ずしも確立していないことが挙げられる.デバイスの試作や多くのパラメータに関する実験を優先したので,複合型の実験計画を実施できなかった. 次に,渦発生器とシンセティックジェットを組み合わせた複合型アクチュエータに関しては,周期的な誘起流れの基本特性を明らかにし,さらに,剥離流れに実際に適用し,複合型アクチュエータの有効性を明らかにしたので,所期の目的を達成した.但し,能動型アクチュエータであるアクティブディンプルに関しては単体の実験は実施したが,受動型を組み込んだ複合型アクチュエータによる剥離流れへ応用することができなかった. 研究代表者は,渦発生器とシンセティックジェット,アクティブディンプルなどのアクチュエータ周りの誘起流れの重要性に早くから着目していたので,周期的なミリメートルオーダーの誘起流れ計測システムを構築し,長年に亘る実験技術を駆使して,計画を進めたが,複合型アクチュエータと多くの剥離流れ場を選択したことにより,検討すべきパラメータが多くなり過ぎ,多くの実験項目を含むスケジュールを立案したことが原因と考えられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
2年間の研究成果に基づいて,今後,実施すべき実験の方向性は明らかになっている.さらに,複合型アクチュエータの組み合わせに関する課題は概ね明らかになっている.即ち,受動型アクチュエータと能動型アクチュエータにより誘起される渦同士の非線形干渉過程に着目して,実験計画を立案し,実験解析すれば良いことが判明している. 最終年度に向けて,研究を推進する上でのもう一つの課題は,各種アクチュエータの誘起流れの基本特性を評価するための評価基準の確立である.個々のアクチュエータの誘起流れの最適化は容易であるが,受動型と能動型の多岐に亘る組み合わせにおける評価基準の確立には,線形性から非線形に至る流動特性の非線形の度合いを定量化することが不可欠であり,そのためには,従来得られているデータの分類や傾向の抽出などの検討が必要となる.併せて,複合型アクチュエータを適用する複数の剥離流れに関しても,例えば,剥離点が固定しているか,揺動しているか,剥離せん断層の不安定に起因する固有振動数のレイノルズ数依存性が明確であるか,又,剥離せん断層が周期的な擾乱を受容する可能性が高い流れ場であるか否か,剥離せん断層に働く流れ方向の圧力勾配や外力,そしてレイノルズ数の影響などを分類して,対象とする流れ場と複合型アクチュエータの組み合わせの評価基準を明らかにして,複合型アクチュエータの利用指針を確立することに努める必要がある.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
プラズマアクチュエータを組み込んだ複合型アクチュエータを実験計画に含めていたが,プラズマアクチュエータ単体の空力特性に関する実験に手間取り,計画が一部実施できなかったことによる. 平成25年度に未実施の実験計画を迅速に実施し,併せて,平成26年度の交付申請書に沿って速やかな予算執行に努める.
|
Research Products
(12 results)