2014 Fiscal Year Annual Research Report
複合型アクチュエータの開発に伴う総合的評価システムの構築
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24360074
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
本阿弥 眞治 東京理科大学, 工学部, 教授 (30089312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 正利 千葉工業大学, 工学部, 教授 (20117708)
元祐 昌廣 東京理科大学, 工学部, 講師 (80434033)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アクチュエータ / 能動制御 / 受動制御 / 複合型アクチュエータ / 剥離流れ / 評価基準 / 成熟度 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の研究成果を得た. 1.複合型アクチュエータによる剥離流れへの応用に関しては,受動デバイスで発生した横渦ならびに縦渦対の誘起速度を利用して,円形噴流では半径方向,そして壁面境界層流れでは壁面に垂直な方向へ擾乱を偏向可能とする方式を採用した.そこで,この複合型アクチュエータを用いて受動と能動デバイスによる周期的な渦構造からなる擾乱を作成し,剥離流れが存在する片開きディフューザに適用した.剥離抑制効果を流れの可視化ならびに壁面静圧回復係数から確認した.さらに,衝突円形噴流に複合型アクチュエータを応用した結果,能動デバイスや受動デバイス個々のアクチュエータによる伝熱促進に比べ,複合型アクチュエータは優れた伝熱促進効果が認められた.このようにして,複合型アクチュエータを採用することにより,流れの制御と伝熱特性の改善が期待できることを実証した. 2.プラズマアクチュエータによる剥離流れへの応用に関しては,プラズマアクチュエータのベース周波数やバースト周波数,そして駆動電圧などのパラメータがアクチュエータ周りの誘起流れに及ぼす影響を最適化して,流体機械に見られる分岐管の流動特性を向上させる試みに取り組んだ.そこで,プラズマアクチュエータの適切な配置を検討した上で,分岐した流れの流量配分特性の向上を達成し,粒子画像流速計により,その流動機構を明らかにした.剥離流れや滞留する流れに対して,プラズマアクチュエータによる制御効果を明らかにし,実際の応用における流体工学的知見を数多く蓄積した. 3.総括 学会における研究成果の発表や論文刊行により,他の研究者から寄せられた質問やコメントを集約して,各種アクチュエータの効果を定性的に規定できる基準を作成し,さらに,定量的に規定できる基準作成に関する基礎資料を集積した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.剥離流れへの応用 複合デバイスでは,受動デバイスと能動デバイスのパラメータの組み合わせが多岐に亘るので,最適な条件を見出すため,個々のデバイスの特性データの構築が不可欠である.受動デバイスと能動デバイスで誘起された3次元渦構造の干渉過程によりデバイス特性の良否を判定することができるが,課題は,3次元3成分画像処理流速計による計測に非常に時間を要することである.そこで,境界層剥離流れあるいは噴流に複合デバイスを応用した場合に優れた効果が得られた根拠を流れ場の3次元構造と結びつけるには,膨大な実験データの蓄積が必要となり,時間的な制約から,性能評価と流れ場構造との相関データの構築の達成度にやや遅れが見られる. 2.プラズマアクチュエータによる剥離流れへの応用 プラズマアクチュエータを利用した剥離流れの制御については所期の目的を達成したが,受動デバイスと組み合わせた複合デバイスの基本特性については,十分な解明に至らず,今後の課題として残されている.その理由の一つがプラズマアクチュエータにより作り出される誘起速度が十分なレベルに到達せず,複合化に進めなかったことが挙げられる. 3.総括 各種アクチュエータを組み合わせた複合デバイスの特性を定量的に規定できる基準の作成が残されているので,達成度に関しては,十分ではない.学会における研究成果の発表や論文刊行に関しては初期の目標を達成している.以上により研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
3年間の研究成果に基づいて,複合型アクチュエータの効果は確認されているので,今後,検討すべき課題は明らかになっている.即ち,受動型アクチュエータと能動型アクチュエータにより誘起される渦構造の干渉過程のパターンの分類ならびに流動パラメータによるパターン境界のマップを作成し,さらに渦の干渉過程を定量的に表現するパラメータの提案である.工学的な応用が多く見られる境界層剥離流れや円形噴流剥離せん断層の先進的な制御技術の構築を目指した複合デバイスの最適化については,パラメータ選択の指針確立に向けた取り組みや,複雑流れの制御に関するデバイス選択を含めた指針の提言に向けた取り組みを継続して実施する.その際,受動デバイスと能動デバイスの組み合わせは多岐に亘るので,デバイスの特徴的な流動パラメータの提案も併せて検討する. さらに,学会における研究成果の発表や論文刊行により,他の研究者から寄せられた質問やコメントを集約して,今後の研究に役立て,最終的には,研究成果を学会へ積極的に発表し,併せて,雑誌への投稿することにより,研究成果を公開することに努める.
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Causes of Carryover |
平成26年度中に実験結果をまとめて学会に発表し,さらに論文を投稿する予定であったが,実験結果の整理と評価項目の検討に予想以上に時間を要した.あわせて,発表内容に適した学会が平成27年7月に開催され,論文発表はそれ以後となるため,計画の変更を余儀なくされ,未使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度において評価項目を含めた検討結果を平成27年9月開催の機械学会流体工学部門講演会に発表し,あわせて3年間の研究成果をまとめて,平成27年7月末に韓国ソウルで開催の日米韓機械学会流体工学部門合同国際会議で招待講演にて発表する. その後,過去に得られた研究成果を総合的に再構成して,その成果を機械学会論文集ならびに海外の雑誌に投稿することにより科学研究費による成果をすべて公開し,未使用額をそれらの経費に充当する.
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Research Products
(19 results)