触媒反応の進行を理想化する入出熱過程と反応過程の独立制御とその改質器への応用

2012 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 24360079
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
• Research Institution: Kyoto University
• Principal Investigator: 吉田 英生 京都大学, 工学研究科, 教授 (50166964)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 岩井 裕 京都大学, 工学研究科, 准教授 (00314229) ; 齋藤 元浩 京都大学, 工学研究科, 助教 (90314236)
• Project Period (FY): 2012-04-01 – 2015-03-31
• Keywords: 改質反応 / 触媒反応 / 熱制御

Research Abstract

触媒による改質を実際的な対象として,その触媒反応の進行を理想化すべく,反応過程とは独立した温度(入出熱過程)制御を行う系を創出する.具体的には,反応流路中にバルク温度制御ユニットと触媒反応ユニットの2種のユニットを挿入し,これら2種のユニットの配置を流れ方向に変化させることにより,反応ガスの温度を直接かつ局所的に制御でき,反応ガスの進行度合いと温度履歴をいかようにも条件設定可能な反応シミュレータを構築する.本手法により,外的に制御できかつ局所的に意味のある温度における反応の詳細を解明する可能性を探る.
研究初年度として,まずは,対象とする反応とそれに適する触媒を選定した.本研究においては触媒は板状の母材に担持する必要があることから,壁面担持型触媒として実績があるメタン水蒸気改質について,数種類の触媒を試した上で,その活性や安定性の高さからRu/Al203触媒として用いることとし,直径0.8mmの穴が多数開いている直径9.9mm,厚さ2mmのアルミナ平板に担持した.
触媒板は石英管に複数段配置され,流量を制御されて導かれた水蒸気とメタンの予混合気を改質する.触媒板はベースとなる温度まで電気炉による一様加熱に加え,それぞれ独立したヒータによる加熱により温度制御できるようにしている.また,流れ方向にトラバースするサンプリングプローブを挿入することで任意の位置におけるガス採取・分析を可能とした.この装置により,触媒板が複数段ある場合の触媒および中間気相温度が反応量に与える影響を調べた.その際,単段における実験から得られた反応速度を用いて,生成物が反応に及ぼす影響も考察した.

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

交付申請の段階では,反応および触媒の選定と実験装置の製作を計画していたが,改質実験を行うところまで進むことができた.また,「意のままに」というほどではないにせよ,次年度に予定している温度制御にも着手した.

Strategy for Future Research Activity

実験の手法や解析方法に目処を付けた一方で,触媒の温度制御のためのヒータは外部から巻くという簡便な方法で設置しているため,条件を完全に満たしているわけではなく,改良すべき点である.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

第二年度目から温度制御を施した上での実験に本格的に移行する.研究費は主として実験装置の製作に使う予定である.特にバルク温度制御ユニットは加熱だけではなく冷却装置も備えることを予定しており,経費の一部はその試作に当てられる.