2012 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ・微小流路内の粘弾性流体流れの乱れと伝熱促進機構の解明
Project/Area Number |
24360080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
巽 和也 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90372854)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 粘弾性流体 / 蛇行流路 / 伝熱促進 / 不安定性促進 / 二次流れ / 低レイノルズ数流れ / 高分子溶液 / 無次元量 |
Research Abstract |
平成24年度は,蛇行流路内の粘弾性流体流れの伝熱特性と流動特性の解明を目的として,5mm四方の正方断面流路について,粘弾性流体であるポリアクリルアミドとスクロースの混合水溶液を用いて等温加熱条件下における平均熱伝達率と圧力損失の測定,および染料を用いた流れの可視化計測とPIV(Particle Image Velocimetry)計測による速度分布測定を行った.その結果,レイノルズ数が0(1)の領域においても非定常流れと縦渦状の二次流れが形成されることが確認できた.特に蛇行流路の湾曲間における変曲点やや下流において強い二次流れが存在することが分かった.これらの流れにより,平均熱伝達率はニュートン流体の場合と比較して3倍以上促進した.また直線流路を用いた測定を行い,同じレイノルズ数では蛇行流路と比較して伝熱促進効果が得られなかったことから,二次流れの形成は蛇行流路と粘弾性流体の組み合わせにより得られることを示した.圧力損失(ポンプ動力)を考慮した総合性能においても,ニュートン流体であるスクロース水溶液の場合と比較して高い性能を示した.ただし,水の場合と比較すると同等の性能であった. さらに,伝熱と圧力損失特性の整理方法と流体の物性及び種類による影響を検討するために,異なる複数のスクロース濃度の水溶液について実験を行った.その結果,レインルズ数では平均ヌッセルト数および管摩擦係数の増加位置や大きさを再現することができないことが分かった.一方,ワイゼンベルグ数を用いることで流れの非定常化と平均ヌッセルト数の値を整理できることを示した.これは二次流れの形成には主に法線応力差が影響すると考えられ,第一法線応力を測定し,その値を用いて伝熱特性を整理できることも示した.また,平成25年度に向けて3次元数値解析と高分子水溶液と異なる粘弾性流体として界面活性剤水溶液を用いた実験を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画で示した伝熱測定,圧力損失測定,流れの可視化,PIV計測を行い,各実験について目標である結果を得ることができた.さらに,異なる物性を持つ粘弾性流体を用いた測定と数値解析による流動解析をそれぞれ前倒しして行う事が出来たため.
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Strategy for Future Research Activity |
完全発達した流れ場と温度場における熱流動特性の測定と界面活性剤を用いた実験を行う.さらに非線型モデルを用いた3次元数値解析を行い,流れ場と応力場の関係と二次流れの形成理由を解明する. さらに,蛍光標識を用いた高分子の可視化計測手法の開発を開始する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大型物品であるレオメータの購入は予定通りH25年度に完了した.追加の物品購入として高分子水溶液の誘電特性を測定するためにインピーダンスアナライザの購入を年度末に開始したが,円安のために発注手続きが遅れた.H25年4月には発注を終え,5月中に納品する予定である.
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