2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ・微小流路内の粘弾性流体流れの乱れと伝熱促進機構の解明
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24360080
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
巽 和也 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90372854)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 粘弾性流体 / 蛇行流路 / 伝熱促進 / 平均熱伝達率測定 / 3次元速度場計測 / 数値解析 |
Research Abstract |
平成25年度は蛇行流路内の粘弾性流体流れに関する①伝熱計測,②染料を用いた流れ場の可視化計測,③PIVによる流れ場の速度場計測,④非線型モデルを用いた3次元数値解析,を行った.①では等温加熱条件下における平均熱伝達率測定により,24年度に引き続きReとWiが平均熱伝達率に与える影響を検討し,②では流路の上方・側方観察から二次流れと非定常流れを可視化した.また,③では2本のレーザとカメラを用いて,2断面同時計測による流路内湾曲部頂点および変曲点における3次元流動場の速度分布を明らかにした.これらにより,伝熱特性がWiで整理できること,伝熱性能が主に流路断面内に形成される二次流れに起因することを示した.さらに,二次流れのパターンは流量(Wi)に依存することが分かった.流量が小さいときは一つ渦が形成され,流量が増加すると一対の双子渦に発達することを示した.この他に蛇行流路内の湾曲の切替が,発達領域における渦の周期特性に当てる影響も明らかにした.④数値解析では非線型Giesekusモデルを用いて蛇行流路内の粘弾性流体流れの3次元流れ場について解析を行った.その結果,実験と同様に断面流路内に1対の二次流れが形成されることを示した.この渦は主に流路上下壁におけるせん断流れにより生成された法線応力によって作られた物である.これにより主流は湾曲外縁へ偏流する.これにより湾曲の変曲点では前述の渦の効果と合わせて,ニュートン流体と比較して強い二次流れが形成される.これが主な伝熱促進機構であることを示した. 非定常流れは,この二次流れが流路内を上下左右に変動する動きや,変曲点における渦の方向の切替により生じている可能性が高いことが分かった.したがって,この流動条件下で言えば,流れは他の研究で言われている乱流ではなく,非定常層流であると言うことが正しいと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画である,ニュートン流体と比較した場合の伝熱特性と圧力損失特性の整理,流動条件と伝熱特性との関係を明らかにすること,可視化および速度場計測により流動特性を解明すること,数値解析により3次元流れ場の解明と粘弾性流体により生成される応力場との関係を示すことで二次流れの生成機構を解明すること,が全て25年度の期間に達成できているため.
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Strategy for Future Research Activity |
3次元の速度場計測と平均熱伝達率が計測できたことから,平成26年度には助走区間ではなく,完全発達領域における平均および局所伝熱特性の測定を行う.この場合,測定精度の関係から,湾曲流路内に薄膜加熱版と熱電対を設置して等熱流束加熱条件における伝熱特性を測定する.特に局所熱伝達測定では湾曲内の二次流れと熱伝達率との関係を明らかにすることで,伝熱促進機構の解明と高性能化の指針を示すことを目的とする.これらの知見を元に,流路形状について振幅や幅等を変えて実験を行い,その影響とより効果的な形状について検討を行う. さらに,数値解析では定常流れにおける二次流れは再現できた.これに伝熱解析を追加して二次流れによる伝熱促進機構を明らかにすると共に,ReやWiを変化させたときに,二次流れの変化とそれに伴うヌッセルト数分布の変化を検討し,蛇行流路内の伝熱特性を明らかにする.さらに,実験では非定常流れが重要な要素を示すため,計算でも非定常流れを模擬できるように改善する.現時点では計算の安定性に問題があるため,非定常項の取り扱いおよび安定性向上の技術を取り込むことで計算コードを改善し,非定常流れの解析を図る.これにより,渦の発達や湾曲形状の影響,そして粘弾特性や応力による影響について検討する事が可能であり,前述の伝熱実験結果と連携して現象解明を行う. 応力の影響については,実験でも萌芽研究の課題でもある流れにおける応力場の可視化技術の開発と連携することで,リアルタイムで流れにおける応力分布を測定し,流れとの関係を明らかにすることも検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品の物品数が予定よりも少なかったため若干の次年度使用額が生じた. 実験における計測装置や,溶液作成に必要な消耗品,実験装置の改善にて用いる.
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