2012 Fiscal Year Annual Research Report
スリット型・チューブ型細孔に閉じ込められた分子挙動の解析
Project/Area Number |
24360084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
泰岡 顕治 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40306874)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細孔 / スリット / チューブ / 分子動力学 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究は,スリット型の細孔およびチューブ型の細孔内に閉じ込められた系における固液相転移,気液相転移などモフォロジーを詳細に調べ,バルク状態では観察されていない相を見いだすことを目的としている.平成24年度は,計画に基づいて,一般の液体については,スリット細孔の系においては,融点と凝固点を求めるために水の系での計算を行うことができるプログラムの開発を行った.具体的には,従来の分子動力学シミュレーションの手法を用いた計算プログラムの開発を行い,固液相転移点の見積もりを行った.液体状態にある系を徐々に冷却して,固体にある温度を求め,固体になった後今度は温度を上昇させて液体になる温度を測定した.また,平成26年度に予定していた拡張アンサンブルを用いた手法(アイソバリック・マルチサーマル法)についても検討した。スリット型細孔で水の系については計算を行い,妥当な結果を得た(学会発表を行った).チューブ型細孔については,Lennard-Jones流体についてのプログラム開発を行った.複雑液体については,スリット型,チューブ型細孔ともに,プログラムの開発を行った.プログラムの完成は次年度以降を予定しているが,チューブ型細孔においては,親水性と疎水性を併せ持った粒子(Janus Nanoparticle)の系について計算を行い,モフォロジーの観察を行った.この結果をJournal of Chemical Theory and Computationに論文として発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初平成24年度に計画していたものは,十分に達成できている.平成26年度に計画していた拡張アンサンブルを用いた方法について,平成24年度に前倒して実施することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に引き続いて,スリット型細孔およびチューブ型細孔内の一般の流体,複雑流体について研究を進めて行く.当初の計画より少し早く進んでいるが,計算事例を増やす方向で研究を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度中に,コストパフォーマンスが高いコンピュータ(具体的にはGPU搭載型のもの)が出る予定であったが年度末での納入が難しい状態であったため,その分を次年度使用することにした.次年度にこれらを購入する予定である.
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