2012 Fiscal Year Annual Research Report
MRコンポジットを活用した革新的なスマートダンパの開発とその免震・制振への応用
Project/Area Number |
24360087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中野 政身 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (40147947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸塚 厚 東北大学, 流体科学研究所, 技術専門職員 (40626313)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | MR流体 / コンポジット / 不織布 / MR回転ブレーキ / ボールネジ / ダンパ / 可変減衰力 / 免震制御 |
Research Abstract |
高性能なMR流体多孔質コンポジットの創製と、それを活用した免震・制振用の直動型の可変減衰力スマートダンパを開発することを目的に、下記の研究を実施した。 1.高性能なMR流体多孔質コンポジットの創製と評価 磁場に反応して粘性(降伏せん断応力)の変化するMR流体を多孔質体に含浸させることで、MR流体中に分散した強磁性体粒子の沈降の問題が解決でき、かつ密閉のための流体シールが不要な高性能なMR流体多孔質コンポジットを開発することを目的に、多孔質体として細い繊維が不規則に絡み合う種々の不織布を用いてMR流体多孔質コンポジットを創製し、可変速モーターとスライダー・クランク機構から成る既存の加振装置(ダブルギャップレオメータ)を用いた往復せん断モードでの試験によって、MR効果について評価した。その結果、横弾性率が大きく細い繊維が密に絡み合う不織布を用いたものがより大きなMR効果を発揮し、MR流体単体で用いた場合よりも1.7倍程度高いせん断応力を示すことを明らかにできた。 2.MR流体多孔質コンポジットを用いた免震・制振用の直動型の可変減衰力ダンパの開発 1.の試験結果に基づいて、高性能なMR流体多孔質コンポジットを媒体とした多層円盤型回転MRブレーキ(4枚の円盤使用)と直動を回転運動に変換するボールネジ、そしてリニアガイドを用いたボールネジ軸回転防止機構とを組み合わせた直動型の可変減衰力ダンパ(ストローク±100mm、最大減衰力20kN)を磁場解析を援用して設計・開発した。疲労強度試験装置を用いた正弦波鉛直加振試験によって、その発生減衰力および減衰特性を明らかにすることができ、設計どおりに最大20kNの減衰力を発揮することが確認できた。さらに、開発したMRダンパとバネで建築物に相当する物体(マス)を水平に支持した1自由度免震系モデルの水平振動台試験を実施し、その免震制御系への適応可能性を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の平成24年度の研究計画では、MR流体多孔質コンポジットの創成とそれを活用した直動型可変減衰力ダンパの開発がメインであったが、開発したMR流体多孔質コンポジットを活用した可変減衰力MRダンパを用いた-自由度免震系モデルの水平振動台試験も実施することができ、開発したダンパを用いた免震制御システムの今後の構築に向けての基礎資料を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
一自由度免震系モデルとの良好な適合性を図るため開発したMR流体多孔質コンポジットを用いた可変減衰力ダンパの無磁場時の摩擦減衰力を低減する改良を施し、免震・制振制御試験によって効果的な制御法を確立する。また、MRゴムコンポジット(エラストマー)を活用した免震用積層ゴムアイソレータを開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
開発したダンパの改良のための予算として次年度使用額が生じた。平成25年度は、開発したダンパに改良を施し、一自由度免震制御の試験を実施する。かつ、MRゴムコンポジットの創製とそれを活用した震用積層ゴムアイソレータの試作を行う。主に、そのために研究費を使用する。
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