2013 Fiscal Year Annual Research Report
マルチラテラル遠隔制御の研究と力覚共有マウスへの応用
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24360090
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
三好 孝典 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10345952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺嶋 一彦 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60159043)
今村 孝 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10422809)
兼重 明宏 豊田工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (70224615)
川田 昌克 舞鶴工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (90311042)
河合 康典 石川工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (90413765)
沢口 義人 木更津工業高等専門学校, 電子制御工学科, 講師 (50455119)
小山 慎哉 函館工業高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (50435385)
内堀 晃彦 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (60304490)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マルチラテラル遠隔制御 / 国際情報交換(アメリカ,ドイツ) / 力覚共有 |
Research Abstract |
音声や映像をインターネットを介して遠隔地間の多人数で共有し,遠隔会議やソーシャルゲームなどの社会活動を行うことは,近年日常的に行われている.それらの技術はこれまでのコミュニケーションのあり方を一変させたとも言って過言ではない.しかしながら,人間の五感の一つである触覚(力覚)を集団的に共有し,社会的な活動に反映させた事例はこれまで世界的に見られない.これは,インターネットで生じる時間遅延が力学的閉ループを不安定化させるため,適切な力覚制御が困難なためである.本研究はこれらの問題を克服して制御ループを安定化させた上で,世界中で操作者間の力覚を共有し,音声・映像に続く第3の感覚共有によるコミュニケーションを目指すものである. 本年度の研究成果として,1.「国内拠点間における遠隔地間の触覚共有実験の実施」が挙げられる.この実験は豊橋技術科学大学にサーバを設置し,クライアントとして函館高専,木更津高専,石川高専,豊田高専,舞鶴高専,宇部高専,仙台高専,福井高専,小山高専,沼津高専,岐阜高専,明石高専,の12高専をインターネット回線で結び,我々の開発した安定化技術を用いて力覚が共有できることの実証実験を行った.この様な規模の力覚共有実験は世界に例がない.また,函館高専,豊田高専では本技術を用いたアプリケーションの開発も行った. さらなる研究成果として,2.「大陸を超えた国際拠点間での力覚共有実験」も実施した.ドイツ・シュツッツガルト大学のサウォドニー教授,アメリカ・ニューヨーク市立大学のカワグチ教授との緊密な協力の下,日独米3国間,日米韓3国間の遠隔制御実験を行い,国際間においても力覚が正常に共有できることを実証した.また理論値と実験値の比較を行い,提案手法が妥当であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定では,6高専とを結んでのマルチラテラル遠隔制御を行う予定であったが,結果的に倍増の12高専との力覚共有実験を実施することができた.さらに,当初予定では日独米3国間における遠隔制御実験を行う予定であったが,それに加え日米韓の3国間においても遠隔制御を実施することができた.これにより,通信遅延が最大400msに及ぶにも関わらず,アジア,ヨーロッパ,北米の3大陸間での力覚共有が実証ができたことの成果は大きい.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は以下の計画で研究を実施する. 1.一般人も含めた大規模遠隔制御実験の実施,昨年度までの共同研究者間での遠隔制御実験(10台ベース)から,一般人も含めた遠隔制御実験(30台ベース)に試験範囲を広げる.このために,研究者だけしか取り扱えなかった専門的な実験設備(プラットホーム)を,一般の人でも使用できるような汎用的で分かり易いプラットホームに変更する.一般人の参加により,遠隔地間力覚共有アプリケーションというこれまでにない新ジャンルのコンテンツの評価を幅広い視点から行えると共に,実験範囲の拡大によって我々の提案する制御アルゴリズムの安定性・ロバスト性を明らかにする. 2.従来のワンクリックによるデジタル的意思決定と本アナログ的意思決定の比較,多人数による遠隔地間力覚共有デバイスはこれまでに無いメディアであるため,その社会的インパクトは大きいものと推測される.本デバイスによるアナログでリアルタイムな集団的意思決定と,従来のマウスクリックによるデジタル的意思決定は異なる結果をもたらすのか?などの社会工学的な課題に対する考察を,一般人が参加する実験によって与える.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遠隔制御実験に関わる実験補助の謝金を十分見込んでいたが,多くの部分を研究代表者・共同研究者自身でまかなったため,謝金の支払額を大きく減額することができた. 次年度の謝金として使用する予定.
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