2012 Fiscal Year Annual Research Report
異常横磁界効果を利用した高温超伝導テープ線の遮蔽電流磁化の消去法の検討
Project/Area Number |
24360110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柁川 一弘 九州大学, 超伝導システム科学研究センター, 准教授 (10294894)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高温超伝導体 / テープ線材 / 遮蔽電流 / 磁化 / 異常横磁界効果 |
Research Abstract |
高温超伝導テープ線を巻いたコイルを励磁すると、各ターン自身に流れる通電電流による自己磁界だけでなく、他のターンに流れる電流が作る外部磁界にも巻線がさらされ、これらの磁界の重ね合わせによりテープ幅方向の電流分布は不均一となる。このテープ幅方向の電流分布の不均一性に起因して、コイル中心部の磁界の不均一性も非常に大きくなる。そこで、異常横磁界効果を利用した新しい電流分布均一化法を提案した。異常横磁界効果は、直流磁化に対して垂直に外部交流磁界を印加すると直流磁化が緩和する現象であり、高温超伝導コイルの周囲に銅コイルを別途付与して中心到達磁界よりも大きな交流電流を通電することで、一定時間の経過後にテープ幅方向の電流分布を均一化できることを理論的に明らかとした。 次に、提案手法の妥当性を検証するために、市販の高温超伝導テープ線材の幅広面に垂直に外部直流磁界を印加した状態で、テープ幅広面に平行に外部交流磁界を印加した際の直流磁化の緩和の様子をホール素子により計測した。試料線材は大気圧下の液体窒素中で浸漬冷却した。その結果、一定の振幅の外部交流磁界を印加すると、直流磁化の大きさは時間とともに減少していき、やがて一定値に飽和することがわかった。つまり、異常横磁界効果が有効に作用していることがわかった。そこで、印加する外部交流磁界の振幅を大きくしていくと、中心到達磁界に相当する磁界振幅以上で直流磁化は時間とともに指数関数的に減少していき、やがてゼロとなることがわかった。また、印加する外部交流磁界の振幅が大きいほど、直流磁化の減少速度が早くなることもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高温超伝導テープ線を巻いたコイルを単に励磁した際に生じる中心磁界の不均一性を除去するために、交流磁界を印加する銅コイルを別途付与することで異常横磁界効果により中心磁界の均一性を確保できることを理論的に明らかとした。また、液体窒素中で実施した一連の実験結果より、提案手法の妥当性を検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
異常横磁界効果に基づいて高温超伝導テープ線内に生じた電流分布の不均一性を取り除くことができることを理論的および実験的に明らかにしたので、当初の計画に従って着実に研究を推進していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画に従った着実な研究の進展により、多少節約した助成金の使用状況を達成することができた。次年度以降も当初の計画に従って研究を進展することにより、研究費に見合った研究成果を着実に挙げていく予定である。
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