2014 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波照射・交番磁気力顕微鏡による磁性ナノ粒子集合体の微視的磁化反転観察
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24360115
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
齊藤 準 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00270843)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 磁気力顕微鏡 / 磁性ナノ粒子 / マイクロ波照射 / 磁化反転 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が先に開発した交番磁気力顕微鏡をベースとして、以下の成果を得た。 1.交番磁気力顕微鏡内で観察試料に磁気共鳴を起こさせるために、磁性体試料の観察面に平行な一方向に直流磁場を印加して試料の磁化方向を制御し、それと直交し観察面に平行な方向にマイクロ波磁場を印加して試料磁化に磁気共鳴を励起するシステムの試作を終えた。ここでマイクロ波磁場は、導波管を利用したアンテナにより発生させ、導波管アンテナは交番磁気力顕微鏡の除振台上の石版に円筒状の穴を開けて除振台の下から導入した。直流磁場は電磁石により発生させ、電磁石の対向磁極は導波管を挟むように設置し、電磁石は同じく石版の円筒穴を利用して、除振台の下から導入した。最終的に電磁石の最大発生磁場3.7 kOeを、対向磁極材料を高飽和磁束密度のFeCo合金(パーメンジュール)を用いて得た。導波管アンテナのマイクロ波磁場は、導波管の他端にショート板を設けその位置を変化させる共振器を作製することにより増大させることができた。 2.上記の導波管アンテナおよび電磁石により磁気共鳴条件を満たすことができる観察試料として、試料厚みが一定で、試料面が楕円形状でその楕円率が種々異なるパーマロイドットを作製した。 3.磁気共鳴条件を満たさないマイクロ波磁場の検出に関して、ソフト磁性探針に、低周波数で振幅変調させたマイクロ波磁場を印加することにより探針に発生する低周波の交番磁気力を用いてマイクロ波磁場を計測・画像化する手法を開発した。本手法は、導波管アンテナや導波管アンテナ上の磁気共鳴していない磁性体試料から発生する磁場の検出に有用と考えられる。 4.交番磁気力顕微鏡に用いるソフト磁性やハード磁性を有する磁性体探針の特性を、交流磁場応答を測定することで評価する手法を新たに開発し、特許出願を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
磁性ナノ粒子の磁気共鳴観察実験を終える予定であったが、次項目の12.に示した理由により、直流磁場印加用の電磁石に発熱の問題が新たに生じたため、観察位置のドリフトが大きく磁気共鳴観察ができなかった。このため、平成27年度に電磁石の発熱防止対策を行った後に、磁性ナノ粒子ならびにその集合体の磁気共鳴が誘起する微視的磁化反転の観察を行うように計画変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
最初に、直流磁場印加用の電磁石に水冷による発熱防止対策を施す。その後、磁気共鳴の標準試料として、磁気共鳴イメージングで多数の報告があるパーマロイドットを使用し、本研究で提案する交番磁気力顕微鏡を用いた磁気共鳴周波数の検出および磁気共鳴イメージング法を実証する。さらに磁気記録媒体を含む種々の磁性ナノ粒子およびその集合体に対して、磁気共鳴イメージングを行い、直流磁場も同時に反転させて、試料のマイクロ波アシスト磁化反転の観察を試みる。
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Causes of Carryover |
平成26年度に磁性ナノ粒子の磁気共鳴観察実験を行う予定であったが、再設計し導入した直流磁場印加用の電磁石に新たに発熱の問題が生じたため、計画を変更し、水冷による電磁石の発熱防止対策を行った後に、磁性ナノ粒子ならびにその集合体の磁気共鳴および磁気共鳴が誘起する微視的磁化反転の観察を行うこととした。このため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に、磁性ナノ粒子の磁気共鳴観察実験を行うこととし、次年度使用額は電磁石の水冷による発熱防止対策および磁性ナノ粒子の磁気共鳴観察に必要な物品費、及び研究成果の取り纏め費用に充てる。
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Research Products
(4 results)