2013 Fiscal Year Annual Research Report
単結晶ダイヤモンドを利用した超高性能弾性波デバイスの実現
Project/Area Number |
24360131
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
橋本 研也 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90134353)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 知 千葉大学, 産学連携・知的財産機構, 特任教授 (30598933)
大森 達也 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60302527)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ScAlN / AlN / 単結晶ダイヤモンド / SAWデバイス / 発振器 |
Research Abstract |
本研究では、単結晶ダイヤモンド(SCN)基板を利用して、既存の圧電材料では実現し得なかった際立った性能を有する弾性表面波(SAW)素子を実現し、新たな工学領域を創出することを目的としている。 本年度は、まず、昨年度に引き続き、ECRスパッタ法によるAlNの堆積条件を検討した。そして、プラズマ室と基板ホルダに対して別個にガスを導入することにより、AlN薄膜の膜質を低下させることなく内部応力を制御できることが判った。 また、水晶基板上の2.5 GHz動作SAW共振子を利用して、GHz帯高安定発振器を設計・実装するノウハウを構築した。次年度は高品質AlN薄膜/SCN基板構造を利用したSHF帯高Q SAW共振子を実現すると共に、それを利用してSHF帯高安定発振器を実現し、その有効性を評価する予定である。 また、AlNよりも格段に圧電性の大きなScAlN薄膜についてもScAl合金ターゲットによる大面積成長を検討している。その結果、デュアルターゲット式スパッタの場合と同様に高品質膜が大面積に堆積できるようになったが、ターゲットのScAl組成比と薄膜の組成比の間に大きなずれが生じることが判った。検討の結果、これはScAlターゲット表面が窒化することに起因すると予想された。次年度はスパッタ条件を再検討し、ScAlクラスタが窒化する前に基板に到達し、基板表面で窒化する金属モードの実現を目指す。これにより、高Sc濃度で高品質ScAlN薄膜の実現を目指す。 さらに、AlN薄膜並びにScAlN薄膜を利用したSAW素子では、偶数次の非線形性が発生しないことが予想され、予備実験により非線形性が非常に小さいことを確認した。現在、非線形性を自動的に、しかも高精度に評価する計測システムを構築している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高品質AlN並びにScAlN膜の堆積並びにSHF帯高Q共振子の試作については、既に当初想定していた以上の性能が得られている。また、SHF帯高Q共振子のフィルタや発振器応用について、性能を評価するのに必要な基盤技術は今年度の検討でほぼ構築することができた。次年度に予定されている高性能フィルタや発振器実現に適用する予定である。ただし、いまだにSCD上への単結晶AlN並びにScAlNの成長が実現していない。これは<111>面SCD表面の平滑性に問題があるためと予想している。また、試作チップを発振回路上に実装する手法は確立されておらず、これが高Q共振子を用いたSHF帯発振器実現の最も大きな関門と言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
高品質AlN並びにScAlN膜の堆積やSHF帯高Q共振子の試作、さらには高性能フィルタや発振器への適用に関連する課題については、当初の予定通りに最終年度に取り組む予定である。ただし、試作チップを発振回路上に実装する手法は確立されておらず、これを次年度中に開発したい。また、SCD上への単結晶AlN並びにScAlNの成長についても、是非とも次年度中に実現したいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度に購入したネットワークアナライザの納入金額と予定金額の差により残金が発生したため。 金額が僅かなため、次年度に消耗品費として利用する。
|
Research Products
(9 results)