Research Abstract |
平成24年度は,実際の人間の生体構造と電気的特性を再現した,生体等価電磁ファントム(電磁波測定用擬似生体)の開発を目的として検討を行った. 本研究では,カプセル内視鏡への無線電力伝送や信号の送受信を行うためのカプセル内視鏡用へ装備されるアンテナを検討対象とした.これを行うためには,実際の小腸や大腸などの構造が必要である.しかし,実際の小腸の構造をそのままファントムで表現するのは難しい.そこで,まず,人体腹部と小腸を直方体で表現した2種類の簡易数値モデルを提案し,実際の人体に近い高精細数値人体モデルと比較を行った.モデル1は小腸内を直方体で模擬した.モデル2は小腸の柔毛を考慮し,内部にコルゲート構造を設けた.モデル3は,高精細人体モデルの小腸周辺を切り出したモデルである.そして,受信アンテナを搭載したカプセル内視鏡と,送信用アンテナを想定した半波長ダイポールアンテナ(433.92MHz)をそれぞれ小腸内と人体の近傍に配置し,数値解析を行った.その結果,小腸内部の柔毛の有無が受信電力に影響を及ぼすことがわかった.また,人体に近いモデル3を基準として受信電力を比較すると,モデル1との差は22.8%であり,モデル2との差は4.7%であった.以上の結果より,高精細モデルの代わりにモデル2を代用することができると考えられる.これらのシミュレーション結果をもとに,モデル2の構造のファントムを作製した.そして,数値シミュレーションと同様にアンテナを配置し,透過係数の測定を行った.その結果,433.92MHzにおける透過係数の実験結果と計算結果の差は3dB以内となり,モデル2が妥当であることが確認できた. さらにHF帯用ファントムついて検討した.まず,ファントムの電気定数測定方法を検討した.次に,ファントムのベースとなる水と寒天に,アルミニウム粉末と食塩を添加し,電気定数を調節した.その結果,20種類の生体組織のファントム組成を明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,おもに小腸周辺のモデル化について検討を行ったので,今年度は,それ以外の臓器を模擬するファントムについても検討を始める.また,HF帯用ファントムの詳細な特性評価を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は,ファントム形状について基礎的な検討を中心に行ってきたので,今年度はその結果をもとに,実用的なファントムの試作について詳細な検討を行う.また,これまでの成果を国内外の学会で発表する.
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