2012 Fiscal Year Research-status Report
耐障害・省電力運用のためのWebシステム自動再構成方式の開発
Project/Area Number |
24360154
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
薦田 憲久 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (90234898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮫島 正樹 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (80564690)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 情報システム / ディペンダブルコンピューティング |
Research Abstract |
平成24年度は、Webシステムの耐障害・省電力運用を実現するため、以下の3項目からなる研究実施計画に沿って研究を遂行した。 (1)リソース使用状況を自己回帰モデルにもとづいて予測し、専門家の見積値との乖離を障害の予兆として検出する方式を提案した。Webシステムにおいて、リソース使用量が一時的に増大するスパイクが発生するため、自己回帰モデルを適切に学習できない場合がある。そこで、スパイクを除去して自己回帰モデルを逐次学習する方式を提案した。本方式について国外、国内で1件ずつ研究発表を行った。 (2)業務ごとの異常検知を行うため、Webサーバ全体のリソース使用量を、各業務のリソース使用量と各業務へのアクセス数の線形結合によってモデル化した。提案方式では、Webサーバー全体のリソース使用量と各業務へのアクセス数を観測して重回帰分析を適用する。得られる重相関係数が低下したとき、リソース使用量に変化が生じているため、障害の予兆として検知する。本方式について国外、国内で1件ずつ研究発表を行った。 (3)耐障害性と省電力を両立するため、仮想化技術を用いてWebシステムを仮想マシンで構成し、ライブマイグレーションによって仮想マシンの配置を動的に変更する手順を策定した。本件について国内で1件の研究発表を行った。しかし、策定した手順については、リソースの使用状況、電力の消費状況についてリアルタイムの監視が必要なだけでなく、配置変更に必要な追加リソースや電力についても考慮する必要があり、人手で手順どおりに運用することは難しい。手順にもとづいて自動で運用する研究については、当初の計画通り平成25年度に行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Webシステムの耐障害・省電力運用を実現するためには、障害が発生する前にWebシステムの構成を変更する必要がある。障害の予兆は、Webシステムのリソースの変化として現れることに着目し、以下の研究を実施した。 (1)リソース使用状況にもとづいてWebシステムの障害の予兆を検出する方式の開発 (2)障害の原因となる業務アプリケーションの異常を検出する方式の開発 (3)耐障害性と省電力を両立するためのWebシステム運用手順の策定 上記の(1)予兆検出、(2)異常検出に関しては当初予定していたシミュレーションによる評価だけでなく、平成25年度に予定していた実際のWebシステムによる評価を行っている。さらに、検出漏れを防止しつつ、実用上問題ない程度に誤検知を低減できていることを確認できている。また、(3)Webシステム運用手順の策定については、平成25年度の研究を円滑に進めるため、手順のルール化ならびに計算機への実装を終えている。以上のことから、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、開発した障害予兆検知技術を利用し、Webシステム運用手順にもとづいた自動再構成方式の開発を行う。複数の物理サーバ上に仮想マシンを配置し、仮想マシンによってWebシステムを構成する。仮想マシンの配置をライブマイグレーションによって集約、冗長化することにより、耐障害・省電力運用を実現する。Webシステムを自動で再構成するため、障害の予兆検知の確信度をパラメータとし、仮想マシンの配置を決定変数とする、仮想マシン配置問題の定式化を行う。仮想マシン配置問題をリアルタイムで運用可能な計算時間で解くアルゴリズムを開発する。計算時間によっては、複数仮想マシンをコントロールする計算用マシンを別途用意して、各サーバーと連携することを考える。平成24年度に実機で評価できる環境を小規模ながら構築できている。そこで、当初の研究計画よりも実際の規模に近い環境での評価を試みる。平成25年度は、構築済みのWebシステムを拡張し、提案方式を実装する予定である平成26年度は、平成25年度に開発予定の自動再構成方式の実適用と評価を行う。そのため、テスト用のWebアプリケーションを構築し、擬似的に消費リソースを激増させる処理を障害として発生させ、開発した運用方式で対処可能かを評価する。また、その際の消費電力を、既に購入済みの消費電力監視アプライアンスを通して計測し、評価する。運用方式においては、各種運用パターンの適用確率、仮想マシン再配置の時間間隔などのパラメータが存在する。パラメータ設定は管理者の知識に依存することが多いが、評価実験において、パラメータ設定に関する指針を構築し、マニュアルとして作成する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
評価用Webシステム拡張のためサーバーを2台購入予定である。それ以外に計算サーバーを1台購入する。サーバー購入に合わせて、消費電力監視アプライアンスや閲覧用のディスプレイを追加購入する。 平成24年度の成果を学術論文、国内外の会議に投稿しており、その出版費用、参加費、旅費などに使用する予定である。
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Research Products
(5 results)