2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24360161
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松川 真美 同志社大学, 理工学部, 教授 (60288602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 篤 明石工業高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (00321456)
長谷 芳樹 神戸市立工業高等専門学校, 電子工学科, 准教授 (60448769)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 圧電 / 骨 / 超音波 / トランスデューサ / FDTD |
Research Abstract |
低周波の繰り返し応力印加によるメカニカルな刺激が骨のリモデリングを促進するメカニズムについては臨床を中心に研究が進んでいる。しかし実際の骨折治療に使用されているMHz 域の低強度超音波照射については、その骨再生メカニズムは未解明である。そこで25年度はMHz 域の超音波照射による骨の誘発電位の特徴を検討をひき続き進めるとともに、骨モデル中の超音波伝搬挙動の数値解析手法の開発を行った。 まず24年度に引き続き、骨のMHz域の圧電特性の検討を行った。ウシの大腿骨を化学的処理することなくプレート状の試料とし、この試料を受信素子として超音波トランスデューサを作製した。このトランスデューサにMHz 帯の短パルス超音波信号を水中で照射し、トランスデューサの電圧出力を計測した。その結果、ウシ大腿骨中央部皮質骨では、どの部位でも出力を観測することができ、その出力は部位に依存しなかった。また、乾燥骨では出力が大きかったが、骨が吸水しても電圧出力は観測され、in vivoの湿潤状態でも電位が発生する可能性を見出した。また、鋭い超音波パルスの立ち上がり特性を利用して、電位出力の極性を検討したところ、骨の部位と試料の切り出し方向で出力の極性が決まることを見出した。これは骨内で圧電の極性に方向性があることを示している。 また、超音波を照射した際に骨に発生する電位分布をシミュレートするプログラムを試作した。このプログラムは、独自開発の時間領域差分法(FDTD法)による超音波伝搬シミュレーションプログラムを基にして、弾性波動方程式に圧電方程式を組み合わせることによって作成している。動作確認のために、圧電セラミックスおよび圧電フィルムの圧電定数を用い、大腿骨にみたてた円筒モデルに連続超音波を照射した際の電位分布のシミュレーションを行った。加えて、ヒトの軟組織、骨を含むディジタルモデルの作成を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
骨の圧電性が湿潤骨でもみられることを確認し、in vivoでも超音波照射により電位が発生することを見出した。また、骨の切り出し方向、部位により電位の極性が決まることから、骨の圧電性の特徴を指摘できた。超音波による骨の圧電性の確認は初めてのことであり、骨折治療の際の電気刺激の寄与を考える場合にも重要な成果と考える。 また、シミュレーションにより、骨中に生じる電位分布の可視化を試み、既存の圧電材料の物性定数を用いることで、シミュレーションの妥当性を確認できた。これらは当初の計画以上の成果であり、最終年度にはより進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の予定に従い、引き続き骨の圧電性のキャラクタリゼーションを行うとともに、体内の音波伝搬シミュレーションの検討を進める。25年度に開始したシミュレーション手法をより高度化し、in vivoの超音波照射状況を念頭において、体内で発生する電位分布について検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入予定の装置の一部を借用できたため25年度は物品費の使用額が予定より下回った。 物品費については、26年度により研究を進展させるため、シミュレーションソフト開発費として使用する。すでに25年度は当初の予定以上に進んでおり、シミュレーション関連研究に着手し、開発もすすんでいるが、より高速大容量の計算を実施するため、開発環境(ソフト・ハード)を整備する。 本研究成果について海外学会などから講演の依頼が来ており、26年度は成果のより広い発信を目的に、研究代表者が積極的に海外で発表を行うための旅費に使用する。
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Research Products
(14 results)