2013 Fiscal Year Annual Research Report
サンプル値制御理論による非定常信号のシステム理論とその応用
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24360163
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 裕 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70115963)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サンプル値制御理論 / ディジタルフィルタ / 非定常信号 / ウェーブレット / 音響・画像処理 / 適応更新則 |
Research Abstract |
スプライン関数族に対する最適サンプル値フィルタについて,これまで期待された理論解と高速サンプリング法による数値解との間に存在する乖離が問題となっていたが,全体の枠組みについて基本的な変更を迫る事情が存在することが明らかとなった.これによると非定常信号に対しては,まず時変のウェーブレット関数基底(例えばスプラインウェーブレット)によって展開し,その得られた時変離散時間係数を,離散時間フィルタの族によって階層的に処理すべきものであることがほぼ明らかとなった.これはこれまで想定されたフィルタバンクの族をさらに一般化するものであり,次年度の研究において,このような一般化されたサンプル値最適フィルタ族の設計法とその特性が明らかになることが期待される. また,実用的側面においては,携帯電話音声などの狭帯域信号に対して音源信号の同定アルゴリズムを併用することにより,8kHz程度までの広帯域音声に変換することが可能となり,これまで課題であった狭帯域信号に対する有効な処理が可能となった.この方法は補聴器など他の問題への応用も可能であり,次年度引き続き実応用に向けて検討を進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定された最適フィルタの設計法の枠組みを拡張する必要が明らかになり,その方向性が明らかとなった.これによって,想定した時変フィルタの設計スキームはより一般的な枠組みを採用することが必要となることが明らかにされた. また応用面では,動画に対する超解像処理,携帯電話音声の帯域拡張処理など,当初予定を 超えて実用に向けて進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,与えられた連続時間信号族を一度時変の基底(例えばスプラインウェーブレット)によって展開し,その得られた時変離散時間係数を,離散時間フィルタの族によって階層的に処理するフィルタバンクの設計スキームを定式化する.したがって,このような一般化されたサンプル値最適フィルタ族の設計法とその特性を明らかにすることに焦点を当て,理論とともに実用的フィルタ設計アルゴリズムを得ることを目標とする.これによってこれまでに解明されてこなかった非定常信号に対する最適フィルタに関する一般的知見,および定常信号のサンプル値フィルタとの関係も明らかにすることを目指す. この方針により,時変フィルタの階層構造,および時間-周波数の多重性が明確に捉えられるものと期待している.同時にこの方向性によって,どのような関数族に対してどのようなウェーブレットを採用すればよいかなどの系統的な解析が可能となるものと期待している. また,動画処理フィルタの適応化,狭帯域信号に対する帯域拡張処理の実用化を推進する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
FPGA版のYY-Filter音響聴感補正装置を開発する予定であったが,開発依頼先のプログラマが病気で倒れたため(現在は回復期にある),期間内での開発が不可能となった.このため,支出予定であった経費を計算機などに支出し,その他を次年度使用額とした. 次年度の音響処理プログラム開発費に充てる予定である.
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Research Products
(9 results)