2013 Fiscal Year Annual Research Report
中小スパン橋梁の異常検知のための移動点検手法の開発と意思決定支援システムの提案
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24360178
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金 哲佑 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80379487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川谷 充郎 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00029357)
吉田 郁政 東京都市大学, 工学部, 教授 (60409373)
大島 義信 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10362451)
マクゲトリック パトリック 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70635648)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中小スパン橋梁 / 橋梁点検 / 実橋梁損傷実験 / 統計的パターン分析 / 移動点検 / ウェーブレット係数 / 異常検知 / 振動モニタリング |
Research Abstract |
本研究では,橋梁ストックの大半を占める中小スパン橋梁の効率的かつ迅速な診断を可能にするため,振動データの収集が容易である交通振動の利用に着目し「橋梁の加振やデータの収集・分析を移動点検車両が走行しながら行う移動点検手法の開発」と,モニタリング結果から「統計的推論に基づき対象橋梁の異常を判断する意思決定支援システムの提案」が本研究の目的である. 平成25年度には,「非定常連成振動系のシステム同定手法」の妥当性検討を行うため,「模型桁車両走行実験による妥当性検討」を行った.また,「統計的パターン分析手法による異常検知」の実用化に向けて「実橋梁への実証実験データを用い異常診断」を実施した.それぞれの項目について以下のような成果を得ている. ① 模型桁車両走行実験による妥当性検討:模型桁上走行車両の非定常振動から橋梁の動特性を同定する技術の妥当性検討においては,走行車両振動のウェーブレット係数に着目し,さらに損傷前後のウェーブレット係数の確率空間での比較により,異常検知の可能性を見出した. ② 実橋梁を対象に異常検知能力の検討:「統計的パターン分析手法による異常検知」の実用化の検討のため,撤去予定のトラス橋梁の損傷実験データから,異常検知の可能性について検討を行った.その結果,多次元統計空間の統計的距離を示すマハラノビス距離(Mahalanobis Distance)を損傷指標として用いることで,人工損傷を導入した二つの実トラス橋のについて,損傷検知に成功している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実橋梁の損傷実験データを用い,構築した手法の妥当性について検討を行った結果,高精度の異常検知が可能であることを確認している.特に,供用中の橋梁の交通振動を用いた異状検知の可能性も見出しており,研究申請時の予想を上回る異状検知の精度が得られている.関連研究の成果発表においては,査読者から高い評価も得ている.さらに,H25年度研究の大きな進展により,H26年度に実施予定の実用化に関連する検討のための準備は整っていると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
多様な損傷シナリオについての感度解析を行うなど,実用化に関連する検討を包括的に行う計画である.特に,多様な損傷シナリオについての感度解析および提案手法の汎用性を高める検討を行い,本研究を通して得られた手法をまとめた「橋梁振動異状診断のフレームワーク」の提案を目指す.また,橋梁の振動成分が車両に混入しやすくするための車両の条件についても検討を継続して行う計画である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実橋梁の実験を行う予定だったが,既に行った損傷実験データ分析により実用化の可能性が見出されたので,新たに実橋実験を行うよりは,まず集中的にデータ分析および異常検知を行い提案手法のメリットとデメリットを明確にした方が,研究費の運用上合理的だと判断した.関連してH26年度は,新しい実橋実験を行い,提案手法の妥当性に関するの最終確認を行う予定である. 提案手法の妥当性に関する最終確認のための新たな実橋実験に使用する計画である.また,提案手法の包括的な適用性の検討には,多様な損傷シナリオを反映する必要があり,シミュレーションでは検討しきれない部分も多い.それで,室内実験装置を改良し多様な損傷シナリオを反映した検討にも使用する計画である.
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Research Products
(15 results)