2012 Fiscal Year Annual Research Report
融雪剤の影響を受けて劣化した道路橋RC床版の診断・治療技術の構築
Project/Area Number |
24360184
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岩城 一郎 日本大学, 工学部, 教授 (20282113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
子田 康弘 日本大学, 工学部, 准教授 (40328696)
上原子 晶久 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (70333713)
内藤 英樹 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50361142)
羽原 俊祐 岩手大学, 工学部, 教授 (10400178)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 道路橋RC床版 / 凍結防止剤 / 疲労 / 輪荷重走行試験 / 残存疲労耐久性 / 走行速度 / 水の影響 / 耐凍害性 |
Research Abstract |
凍結防止剤散布環境下において供用後50年が経過し架替えに至った実道路橋RC床版より,50年間供用された原床版と7年前に取替えられた床版を切り出し,コンクリートおよび鋼材の詳細調査と輪荷重走行試験機を用いた疲労試験を行った.その結果,コンクリート内への塩分浸透は少なく,原床版で鋼材位置に達する中性化の進行が認められたものの環境作用の影響は大きくはなく,劣化の主因が疲労荷重による損傷と推察された.また,輪荷重走行試験とS-N関係に基づく残存疲労耐久性の評価より,原床版の余寿命は短く疲労限界状態に近かったと推察され,取替え床版も疲労耐久性が著しく低下していることが分かった.取替え床版の早期劣化の原因として,ジョイント付近における大型車の衝撃による影響が示唆された.本床版については共鳴振動法による非破壊試験が試みられ,輪荷重走行試験結果と整合性のある結果が得られた.加えてこうしたRC床版供試体の疲労損傷過程を再現可能な解析手法の構築にも着手した. また,上記の輪荷重走行試験機を用いた疲労試験では,試験機や供試体が大型化し,輪荷重の走行速度も実際の車両走行速度より低速となる課題があるため,小型輪荷重走行試験機を用い,水と輪荷重走行速度がモルタル版の疲労破壊に及ぼす影響を検討した.その結果,乾燥状態の場合,走行速度が増加するに従ってモルタル版の疲労破壊走行回数が減少する傾向が見られた.一方,水張り状態は,乾燥状態よりも同一速度の疲労破壊に至る走行回数が明らかに減少し,速度の増加に伴い疲労破壊走行回数が減少したが,その傾向は乾燥状態の場合ほどではなく,その原因としてPVA繊維を混入したモルタル版では繊維の架橋効果が十分でないことが考えられた. さらに,要素供試体レベルで凍結防止剤散布下を模擬したコンクリートの凍結融解試験を行い,この種の劣化機構の究明を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
凍結防止剤散布下における実道路橋RC床版を対象に,コンクリートおよび鋼材の詳細調査と輪荷重走行試験,共曝振動法を用いた非破壊試験を実施することができ,その詳細調査を行うことができたことと,小型輪荷重走行試彫の有用性を確認できた点で初年度としての目標をおおむね達成できたと考えている.今後は解析手法の構築を急くことで,現場一実験一解析をつなぐ包括的な研究体制が確立するものと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は凍結防止剤散布下においてASR劣化したRC床版の輪荷重走行試験を実施し,各劣化過程における残存疲労耐久性と補修方法に関する研究を進める.また,小型輪荷重走行試験機を活用し.様々な混和材料を用いた鋼繊維補強モルタル版を作製し,その疲労耐久性を評価すると共に,これらの耐凍害性,塩分浸透抵抗性とその機械〓究明する.これらの研究計画に支障が出た場合には共同研究者と協議の上,対応する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験に必要な消耗品等に使用する予定である。
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