2013 Fiscal Year Annual Research Report
築造過程から豪雨による変形・破壊まで,盛土の一生を解く
Project/Area Number |
24360192
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
菊本 統 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 准教授 (90508342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 倫史 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20467450)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 土構造物 / 不飽和土 / 締固め / 構成則 / 浸水コラプス / 弾塑性論 / 有限要素法 / 降雨 |
Research Abstract |
豪雨や長雨に対する盛土の力学的安定性は,降雨強度や連続雨量といった降雨特性だけでなく,締固め時の施工品質にも大きく依存する。しかし,地盤の変形を弾性論,破壊を剛塑性論により解いたTerzaghi以降の古典的土質力学に対して,弾塑性力学に基づく最近の地盤解析技術は変形から破壊に至る地盤の応答を一元的に取り扱えるようになってきたものの,依然として締固め現象は理論的には解釈されていない。このため最新の数値解析でも,盛土の安定性は締固め築造後を初期状態として恣意的に解析条件を設定して評価しているのが現状であった。 本プロジェクトの2年次の検討では,「締固めによる築造過程から豪雨による変形・破壊まで(ゆりかごから墓場まで),盛土の一生を一貫してシミュレートする新しい地盤解析技術」の核となる不飽和土の構成モデル(応力増分とひずみ増分の関係)の開発を行った。このモデルには初年度に開発した発展型水分特性曲線モデル(間隙圧と飽和度の関係式)を組み込んでいる。開発したモデルの適用性は,排気非排水圧縮や浸水,せん断シミュレーションを通して検証しており,同モデルを用いれば最適含水比と最大乾燥密度を持つ締固め曲線を解析的に表現できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題名であり,最終目標でもある「築造過程から豪雨による変形・破壊まで,盛土の一生を解く」を達成するため,初年度に不飽和土の水分特性を記述する発展型水分特性曲線モデルの開発,二年次に力学特性を記述する構成モデルの開発に成功しており,両モデルの検証も概ね終わり,良好な結果を得ている。また,開発したモデルを組み込んだ水土空気三相連成有限要素解析コードの開発も順調に進んでおり,現在は計算精度を向上させるための収束計算アルゴリズムの導入や大変形問題への対応のための有限変形論の導入に取り組んでいるところである。以上のように,研究計画は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
土・水・空気三相系の浸透‐変形連成解析コードの改良を進め,盛土の築造から降雨による崩壊までを解く。締固め過程の再現には概ね成功しているので,最終年度は豪雨・長雨を想定した降雨条件,盛土の締固め条件,排水工や各種補強法を考慮した盛土の降雨崩壊シミュレーションを行い,盛土の崩壊メカニズムの解明を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画の中でも,二年次は不飽和土の構成モデルの定式化と検証および開発したモデルを組み込んだ数値計算コードの開発に特に注力した。そのため,実験機器の整備の一部は最終年度に進めることになり,次年度使用額が生じた。 二年次に整備予定であった実験機器,特に計測機器類の購入に使用する。
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Research Products
(3 results)