2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24360210
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲村 肇 東北工業大学, 工学部, 教授 (50168415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加河 茂美 九州大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20353534)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 間接経済被害 / 地域間産業連関分析 |
Research Abstract |
本研究は東日本大震災の間接経済的被害を推計する。経済被害には震災による家計被災の結果としての消費の落ち込みや、産業の生産設備被害による原材料・中間製品の需要減少に伴う関連産業の経済被害などの後方産業連関被害と、当該企業が原材料・中間製品供給者であった場合、その供給減少による生産縮小に伴う経済被害などの前方産業連関被害が存在する。平成24年度は後方連関効果の推計を行ったのに対し、平成25年度は前方産業連関波及について計測を行った。産業被災による前方連関効果の生産被害額は約6.6兆円で、後方連関効果と合計すると約13.3兆円になった。前方連関は後方連関効果よりも約47%大きいことが分かった。本研究で推計された間接被害の付加価値被害額は合計約6.9兆円となり、直接被害額の約40%と推定された。東北地域の特徴は後方連関効果ではその他の製造工業製品の被害が大きかったこと、前方連関効果では商業や住宅賃貸料の被害が大きかったことなどである。関東地域では広範な産業に被害が表れており、東北との産業間のつながりが深いことが特徴である。中部地域で特徴的だったのは、東北地域との自動車産業の関係が密接であることから後方連関被害が大きかった。九州地域ではその他の製造工業製品の被害が後方連関効果・前方連関効果ともに大きく、九州地域では前方連関効果の方の被害額が大きかったことが特徴的であった。これは東北地域から九州地域に対して自動車産業の部品を供給していることが被害額として表れている。 当該研究の意義: 国の行政機関は物理的被害額を計測し、16兆9,000億円と推計している。しかし、停電や交通施設被害による産業活動の停滞、更には東北の産業に部品などを頼る産業に及ぶ間接被害については推計がなされていない。本研究はこうした間接経済被害の推計するものであり、大震災の被害の全貌を知るためには不可欠な研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由)前年度の後方産業連関被害の推計に続いて、本年度は前方産業連関被害の推計を行った。この推計結果は中央防災会議が実施した東海・東南海地震の直接被害や間接被害の推計値とその比率が類似している(本研究の間接被害の推計値は15%程度大きい)。今後はその差異について考察を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、一昨年は東北地方の経済被害がもたらした後方連関効果と前方連関効果の推計を実施したが、本年度は更に、5年間25兆円に上る、復興事業の経済効果を推計し、震災による被害と復興事業によるその経済再生について研究する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に予定されていた国勢調査データや地図データに関し、宮城県、山形県の分析は実施されたが、青森、岩手などの分析が若干遅れ、購入が平成26年度にずれ込んだため。 青森県、岩手県など東北6県の国勢調査データ、地理データを購入予定である。
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Research Products
(14 results)