2013 Fiscal Year Annual Research Report
都市気象・建物エネルギー連成数値モデルの熱環境・電力需給予測への実証的適用
Project/Area Number |
24360218
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
亀卦川 幸浩 明星大学, 理工学部, 教授 (20409519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 唯太 岡山理科大学, 生物地球学部, 准教授 (80388917)
井原 智彦 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (30392591)
鍋島 美奈子 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90315979)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 都市気象 / 都市熱環境 / 電力需給 / 数値モデリング / 太陽光発電 |
Research Abstract |
本研究は、研究代表者らが開発を進めてきた「都市気象・建物エネルギー連成数値モデル」(以降、連成モデル)を改良・適用し、大都市の電力需給と地上気象・熱環境を通年・高解像度で予測する都市エネルギー・気象予測モデルとしての性能の実証を目的としたものである。都市域日射量の空間非均一性を考慮した太陽光発電評価へのモデル適用性の実証も視野に入れ、平成25年度は以下3つの研究成果を得た。 1.平成25年3月に、大阪市とその周辺の計16ヶ所の学校施設屋上に測器を設置し、屋上高度にて気温・気圧・湿度・全天日射量・天空長波放射量の計測を開始した。あわせて、各学校の近隣公園等にも測器を設置し地上部の気温・湿度の計測も始めた。以上の連続計測を平成26年3月まで継続し、通年の気象データをほぼ無欠測で取得できた。測定データについて、回収と並行し解析を進めた結果、平成25年10月までの8ヶ月間の全天日射量の観測地点間の差異について、積算量では最大6%、瞬時日射量では平均偏差でみて40%程度の差異が確認された。これにより、雲分布等による空間不均一性も反映された日射の統計諸量等を同定できつつある。 2.電力会社の協力を得て、1.の観測と同期した街区域毎・1時間毎の電力需要の通年データも取得できた。同データと1.の気象データを用い、観測点を含む大阪市内14の各街区域を対象に地域電力需要(目的変数)と各気象要素(説明変数)の関係性を示す重回帰モデルを試作した。その結果、当該モデルにより地区別の電力需要は概ね5%の誤差内で再現可能であった。あわせてモデル検証に用いる電力需要の各気象要素への応答感度も同定できた。 3.以上、モデル検証のための実測資料が整備できたことを受け、街区形状等のモデル入力パラメータのデータセットを作成した。これにより、次年度のモデル検証数値実験に向けた準備を概ね完了できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の主目的である都市気象・建物エネルギー連成数値モデルの性能実証に向け、平成25年度の研究実施計画において最も労力を要する課題であったモデル実証データとしての気象・電力需要データの通年計測による取得とその統計解析等にもとづく検証資料の整備を計画通り進めることができた。よって、研究目的の達成に向け、進捗はおおむね順調と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に整備できたモデル検証用の実測資料を活用し、計算機負荷の大きい連成モデルによる電力需要・気象予測の通年の検証数値実験を効率的に進め、研究目的に掲げたモデルの性能実証に繋げること。また、この為に連成モデルに精通し、高性能計算機の作業環境も整備済みの新たな研究分担者の追加について検討し、数値実験の更なる効率化に向けた研究体制の充実を図ること。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度直接経費の主な使途であった気象観測データの回収作業に係る旅費について、回収の作業間隔日数が当初計画より若干伸びたことで通年での作業回数が減少し、当該旅費が計画額を下回った。このため次年度繰越が生じた。 最終年度の研究成果取りまとめに向け、研究分担者との打合せを次年度増やす予定であり、当該繰越額は次年度研究費と合わせ、その旅費等に充てる予定である。
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