2013 Fiscal Year Annual Research Report
免震建築物制御用軸力制限機構付き回転慣性マスダンパーの開発
Project/Area Number |
24360220
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五十子 幸樹 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (20521983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池永 昌容 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50552402)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ダイナミック・マス / 免震構造 / 振動制御 / 変位制御設計 |
Research Abstract |
平成25年度は、本研究課題で提案する免震構造制御用「軸力制限機構付き粘性マスダンパー」について理論的・実験的検討を実施し、以下の成果を得た。 [理論面の成果]初年度においては、提案ダンパーに緩衝バネを直列接続することにより、床応答加速度を増大させること無く、免震構造の地震時応答変位を効率的に低減する設計解を定点法に基づいて見出した。平成25年度は、免震装置の設計において重要な装置引き抜き力を評価するために、上部構造物の地震時応答転倒モーメントを検討対象に拡張した。その結果、既往の免震用ダンパーと比較して、提案ダンパーが引き抜き力低減に有効な場合があることを明らかにした。 [実験的成果]実験的検討としては、実物大ダンパーの要素実験、実物大ダンパー性能確認実験(低速度)、縮小試験体を用いた免震構造物実験を実施した。提案ダンパーでは軸力制限機構を構成する摩擦材(ナイロン)のエネルギー吸収による応答低減効果を期待する部分があるので、要素実験により耐久性を確認した。実物大ダンパーを試作し、平成26年度に予定している高速度載荷試験の予備試験として低速度単体加振実験を実施し、概ね設計通りの良好な結果を得ている。免震構造物縮小試験体に、緩衝バネを介して提案ダンパーを組み込んだ振動台実験を実施し、提案ダンパーを免震構造物に組み込んだ場合においても意図通りの挙動をすることを確認した。 [成果の対外的公表]平成25年度までに得られた成果は、審査付き論文として日本建築学会技術報告集に報告した他、International Conference on Civil, Structural and Environmental Engineering Computing、13th World Conference on Seismic Isolation、日本建築学会大会(北海道)など国内外の学会で口頭発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度までに、提案ダンパーの等価線形化に基づく理論的な最適解の導出、線形解析で得られた最適解を実際の非線形要素から構成されるダンパーの設計へ逆置換する手法の検討や、設計上重要な検討事項であるアイソレーター応答引き抜き力低減効果などに関する検討が終了し、実物大ダンパーに関しても要素実験による材料の選定、実物大ダンパー低速度載荷実験による性能確認まで予定通り終了している。更に、縮小免震試験体を用いた性能確認試験まで進んでいるので、提案ダンパーの実用化に向けて、平成26年度に予定している実物大ダンパー高速度載荷実験の準備が概ね完了している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として最も重要な課題と位置づけていることは、提案ダンパー、提案免震制御システムの実用化において最も重要な実物大ダンパーの高速度載荷実験である。当該実験は、カリフォルニア大学サンディエゴ校が保有するCaltrans Seismic Response Modification Device (SRMD)を利用して平成26年12月頃に行う予定である。 また、平成26年度は、これまでの研究で得られた成果を国際専門誌や国内外の学会で発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由は、平成25年度の研究を効率的に推進したことに伴い未使用額が発生したためであり、これは次年度請求額と合わせて今後の研究の遂行に使用する予定である。 前年度において研究を効率的に推進したことにより、今年度使用することとなく未使用額を生じたが、これまで研究が効率的に順調に進んでいることから、次年度において提案ダンパーの更なる改良型の開発へ向けた基礎的な検討を進めるよていである。前年度未使用額は、この新たな検討に使用する計画で、助成金の効率的な活用により当初計画以上の研究成果が得られるものと期待している。
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