2013 Fiscal Year Annual Research Report
PC圧着関節骨組を用いた低強度C系構造物の外側耐震改修における接合部の設計法
Project/Area Number |
24360224
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂田 弘安 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (80205749)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | RC構造 / PCアウトフレーム / 外付け耐震補強 / 低強度コンクリート / アンカーボルト |
Research Abstract |
本年度は,既存RC架構とPCアウトフレームを実際に近い形で1/2.5スケールの試験体を作成し,静的実験を行って,その補強効果を確認した。試験体は,既存RC架構にスラブ,及び直交梁を介してPC圧着関節工法を用いた外付け架構を連結した。スラブに関しては,想定される入力せん断力に対して,耐震壁の力学的挙動を参考に剛性低下率を用いてその断面を決定した。実験の結果,既存RC架構に曲げひび割れなどの損傷が生じたあとにも,昨年度に提案した評価式が成り立つこと,既存RC架構とPCアウトフレームの間にはスラブせん断変形分の変形差が生じることなどを把握した。また既存フレームとアウトフレームを接合するスラブにせん断ひび割れのみならず,面外曲げの影響と思われる曲げひび割れが分散して生じることを確認した。具体的に記述すると,既存RC架構にスラブを介してPC外付け架構を連結することで,層間変形角R=1/25までの変形において既存架構の変形に対して外付け架構が追随し耐力が累加されること,履歴特性に変化が生じることで残留変形が減少すること,スラブに入力されたせん断応力度を推定し,せん断変形角,スラブのひび割れ損傷,スラブ筋など構成される要素との因果関係を把握し,スラブの応力伝達の効果を確認した。また,同変形下で比較すると,既存RC架構の損傷の進行,ひび割れの推移,また破壊モードに変化を与えないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに,PC圧着関節骨組をアウトフレームとして用いて鉄筋コンクリート構造物の外側耐震改修を行う方法に関して,大きく二つの実験・解析を行い検討してきており,研究の目的の達成度として,おおむね順調に進展している。 一つ目は,既存RC架構とPCアウトフレームをスラブを介して接合する際の,接合部におけるアンカーボルトおよびPC鋼棒のせん断力伝達機構の把握とその設計式の提案である。 二つ目は,既存RC架構とPCアウトフレームを実際に近い形で1/2.5スケールの試験体を作成し,静的実験を行って,その補強効果を確認した。特に,既存RC架構に曲げひび割れなどの損傷が生じたあとにも,一つ目で提案した評価式が成り立つこと,既存RC架構とPCアウトフレームの間にはスラブせん断変形分の変形差が生じることなどを把握した。また既存フレームとアウトフレームを接合するスラブにせん断ひび割れのみならず,面外曲げの影響と思われる曲げひび割れが分散して生じることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,既存RC架構とPCアウトフレームをスラブを介して接合した実験に対して,FEM解析を行い,これまで実験により得られた,部材変形・ひび割れ状況・鉄筋歪など,様々なデータをより詳細に分析を行って行く。先ずは,実験で計測されたデータを基に,それぞれ得られたデータと合致する結果を提供できるような信頼に堪える解析モデルを作成する。その後,このモデルを用いて実験では得られていない部位の様々なデータをFEM解析結果に基づいて,部分的・総合的に分析する。さらに,作成した信頼できる解析モデルを用いて,接合部設計法の検証を行うために,パラメータ解析も行う。最終的には,接合部の性能に対するより合理的な評価法・設計法を提案する。 この最終目標達成のために,必要な追加実験・解析も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでの実験および解析的検討で当初の本年度までの計画は,ほぼ達成できている。実験にあたり,試験体制作をゲージ貼り・配筋を研究室で行うことにより,大きく節約できたことが次年度使用額が生じた主な理由である。 本年度までの計画は,ほぼ達成できている。しかしながら,実験結果からいくつか新しい現象を把握することができ,これに対して解析検討を進めている。来年度は,主にこの解析検討をさらに進めてゆくことになるが,この中で解析に必要なデータを得るための要素実験を追加で行う可能性が出てきている。この実験検討の遂行にあてる予定である。また,これまでの実験および解析データを可視化し,より詳細な分析を行うための人件費にもあてる予定である。
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