2013 Fiscal Year Annual Research Report
歩行感からみた床の動的変形挙動の測定,評価方法の確立
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24360225
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
横山 裕 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (00231689)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 床 / 変形性状 / 歩行感 / 床衝撃音 / 評価方法 |
Research Abstract |
近年、住宅を中心に、軽量床衝撃音遮断性能向上の観点から表面を従来以上にやわらかくした床が急速に普及してきた。これらの床では、動作した際従来の床にはない「ぶよぶよする」,「ぐにゃぐにゃする」といった特異な感触が感じられ、その影響で歩行感が著しく悪い点が大きな問題となっている。しかし、このように表面の感触が影響する床での歩行感は、研究代表者らがこれまでに確立したかたさ,振動に関する測定,評価方法だけでは十分に測定,評価できない。本研究は、床表面の変形性状が感触、さらには歩行感にどのように影響するか、そのメカニズムを把握するとともに、これまでの一連の研究結果とあわせて床の動的変形挙動の妥当かつ体系的な測定,評価方法を確立し、さらに歩行感,床衝撃音のいずれの観点からも要求性能を満たす床を開発するための知見を提示することを目的とする。 平成24年度は、人間の動作時の床の動的変形挙動、特に微少荷重領域における床表面の変形性状と、官能検査手法を適用して定量化した当該床上で動作した時に感じる感触や歩行感との関係から、特異な感触が生起され歩行感が低下するメカニズムを明らかにした。 続いて、平成25年度は、微少荷重領域を含む床表面の変形性状を実状に即した動的荷重条件下で測定できる変形性状測定装置を開発し、装置による測定結果と前年度に構成した心理学的尺度との関係から、特異な感触が生起されるメカニズムに忠実な変形性状の測定,評価方法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初予定していた通り、人間が動作時に床に与える荷重や人体の特性などを置換することにより、実用的で、かつ実状に即した荷重条件下で微少荷重領域における床表面の変形性状を測定できる変形性状測定装置を開発した。また、この装置で測定される変形の面的な広がり、および時間的な変化の2つの要因を、歩行の動作特性との整合を図りながら複合することにより、特異な感触が生起されるメカニズムを、床表面の変形性状に基づいて記述することができた。さらに、前年度に構成した歩行感の適,不適に関する心理学的尺度と、装置による測定結果との関係から、特異な感触の影響を含む変形性状の測定,評価方法を確立した。以上に述べた通り、本年度の目標はほぼ達成されており、研究計画全体からみても、おおむね順調に進展しているとみなすことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの成果を基に、以下の手順にしたがって、歩行感および床衝撃音のいずれの観点からも要求性能を満たす床を開発するための知見を提示する。 ①下階での床衝撃音を測定できる構造を有する試料床を製作する。製作した試料床を対象に、研究代表者らが開発した歩行時の床衝撃音を再現できる加振装置を用い、装置で加振した時の床衝撃音を測定するとともに、その時の床表面の変形性状を測定する。測定には、本年度までに構築した高速度カメラと画像解析装置からなるシステムに加え、新たに導入する超高速インラインプロファイル測定器を用いる。また、測定した変形性状と床衝撃音との関係を種々検討し、躯体の仕様ごとに、仕上げ材表面の変形性状が床衝撃音の低減にどのように寄与するかを定量的に把握する。 ②①で製作した試料床を対象に、本年度までに確立した測定,評価方法を適用して、歩行感の観点から動的変形挙動を測定,評価する。特に、開発した変形性状測定装置を用いて、特異な感触が生起されるか否かの判別を行う。この結果と①の結果を種々比較検討することにより、歩行感と床衝撃音のいずれの観点からも要求性能を満たす床を具現するために目標とするべき変形性状を定量的に提示する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
変形性状測定装置の製作に要する費用が、当初予定より少なかったため。 新たに開発された測定システムで、本研究に対して有効と思われる超高速インラインプロファイル測定器の購入費に充てる。
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Research Products
(3 results)