2012 Fiscal Year Annual Research Report
ひび割れ修復機能を持つ超長寿命コンクリート系複合材料及び構造システムの開拓と展開
Project/Area Number |
24360226
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒木 慶一 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50324653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
サンジェイ パリーク 日本大学, 工学部, 准教授 (20287593)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ひび割れ修復 / コンクリート / セメント / モルタル / 超弾性合金 / バクテリア / 放射性物質 / 遮蔽 |
Research Abstract |
平成24年度は以下の4つの項目について研究を実施した。 (1)超弾性合金主筋とネットワーク孔を用いた縮小梁部材のひび割れ修復実験 銅系超弾性合金を主筋の一部に用い,予め設置したネットワーク孔を用いてエポキシ樹脂を圧送するコンクリートのひび割れ修復技術について,縮小梁部材を用いた実験を実施した。人為的に与えたひび割れに対して,ひび割れ幅に応じてエポキシの粘性を変更することで,効果的にひび割れを修復できることを実証した。 また,超弾性合金の表面処理(ねじ切り)の有無がひび割れ修復性能に及ぼす影響を検討した。 (2)バクテリアを用いたひび割れ修復実験 オランダのデルフト工科大学と共同で,バクテリアによるモルタルのひび割れ修復機能に関して,ポリマーセメントモルタルを対象に実験による検討を行った。適切な種類のポリマーを適量配合することで,従来のモルタルと比較して,3倍程度の幅を持つひび割れを修復できることを実験的に実証した。 (3)高耐久高密度コンクリートの開発と耐久性評価実験 放射性物質を遮蔽するための,比重5の高密度を持ち,打ち込み(自由な整形)が可能なコンクリートの配合について検討を行い,遮蔽性能実証実験,強度試験,耐久性評価試験を実施した。本研究で見出した配合は,従来の重量コンクリートと比較して水セメント比が低く,所定の遮蔽性能を満たしたうえで,高強度かつ高耐久性を有することを実証した。 (4)放射性セシウムのセメント固化処理に関する検討 2011年の原発事故で飛散した放射性セシウム汚染灰の処理技術の一つとして,セメント固化に関する実験による基礎的検討を実施した。本実験では,汚染灰を材料とモルタルを作成し,表面における放射線量の掲示変化を調べた。その結果,放射性セシウムの半減期から予測されるよりも放射線量の低減が大きくなることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,銅系超弾性合金やバクテリアを用いたコンクリートのひひ割れ修復機能付与に関する実証実験を実施し,想定を超える修復性能を実証した。また,放射性物質の遮蔽や固化に関する検討を実施し,特に遮蔽に関しては想定を超える耐久性を確認した。一方,当初予定していた鉄系超弾性合金を用いたひび割れ修復実験や,接合部の実験は材料開発の遅れなどもあり実施できなかった。次年度は,これらの項目について実験を実施する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度実施した各項目について実験と解析による検討をさらに進めるとともに,鉄系超弾性合金を用いたひび割れ修復実験や,接合部のひび割れ修復実験を実施していく。また,米国のネバダ大学とヒューストン大学の研究者から共同研究の希望があったため,これまでのオランダのデルフト大に加えて,米国のこれらの大学との共同研究を推進していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各項目を発展させるための実験及び解析のための費用と,米国の研究者と共同研究を推進するための旅費などを中心に使用する予定である。
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