2012 Fiscal Year Annual Research Report
窓や日射制御・潜熱蓄熱を最適化した低コストで快適性の高い太陽熱暖房の開発
Project/Area Number |
24360235
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前 真之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (90391599)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 隆 東京理科大学, 工学系研究科, 教授 (30151608)
一ノ瀬 雅之 首都大学東京, 工学系研究科, 准教授 (00408709)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 環境設計 / 自然エネルギー / 省エネルギー / 太陽熱暖房 |
Research Abstract |
平成24年度の検討において、主に以下の点について検討を行った。 (1)人工太陽光源を用いた熱箱実験 東京大学の人工太陽装置により安定した太陽光線照射状況を再現し、熱箱内部の各照射面部(壁・床・天井)の日射吸収・放熱の検証を行った。仕上材の日射吸収率の違い、熱伝導率の違い、蓄熱材の厚さと敷設面積の違いを検討する実験を行い、本研究の目標として理想的な蓄熱材の設置方法を検討した。 (2)ブラインドによる窓面透過日射の室内側各面への配分量の検討 さらに、窓面からの透過日射を室内に広く分散させた蓄熱材に配分するため、開口部で内ブラインドによる日射の拡散を提案し、各ブラインドについてその効果を評価した。ブラインドは、白ブラインド・黒ブラインド・透明低放射ブラインドを使用した。特に、透明低放射ブラインドでは、可視光の大部分はブラインドを透過し、目に見えないが熱エネルギーを多く持つ近赤外光はブラインドによって反射され、ブラインド周辺の壁や天井面に太陽光線の熱エネルギーを従来のブラインドに比べて室内全体でより拡散可能であった。 (3)屋外実験棟における本システムの評価 (1)、(2)の知見を統合した実験データを得るため、ブラインド・潜熱蓄熱体を東京大学の屋上実験棟に施工し、その室温平準化効果を検証した。その結果、改修前の室と比較し、大幅な室温平準化効果が認められた。 (4)シミュレーションツールの整備 市販の熱負荷シミュレーションツールでは実装されていない潜熱蓄熱材(PCM)のモデルを自作シミュレーションツール"ExTLA"への実装を行った。また、汎用シミュレーションソフトではブラインドによる可視光・近赤外光の反射を考慮したものもないため、ブラインドの詳細なモデルについてもExTLAへの実装化を目標としたシミュレーションモデルの検討を行い、理論モデルについては知見が整備された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度では研究目的を達成するための基本的なシステムを考案し、冬期の日射熱取得に関するブラインドの基本特性を明らかにした。さらに日射取得と潜熱蓄熱材の適切な利用による室温の向上・安定化についてフィールド実験での実証ができたという成果は大きい。しかし、夏期・中間期も踏まえた通年での評価までには至っていない点、光環境の評価が不十分である点、設計ガイドラインや詳細設計ツールの整備については今後も検討する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
・今年度の研究計画は、当初の予定通りとして進める。研究を遂行する上での課題としては、より研究目的に合致したブラインド素材の選定が必要となる点、光環境のより一層の評価のためのシミュレーション手法の構築が課題となる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度分の助成金はほぼ全額を使用しているが、H25年度の交付請求額と合わせて、夏期・中間期の実験データ取得に関わる実験装置のメインテナンス費用・測定機材等の消耗品等の購入によって使用する計画である。
|