2014 Fiscal Year Annual Research Report
室内空気中の浮遊微粒子を媒体とした新たな汚染メカニズムの解明と健康リスク評価
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24360242
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鍵 直樹 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (20345383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
並木 則和 工学院大学, 工学部, 教授 (40262555)
柳 宇 工学院大学, 建築学部, 教授 (50370945)
東 賢一 近畿大学, 医学部, 講師 (80469246)
諏訪 好英 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (10416836)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 室内空気質 / SVOC / エアロゾル / 吸着 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,室内空気環境における汚染メカニズムの解明として,室内空気環境における浮遊微粒子の存在に着目し,浮遊微粒子にその他の汚染物質,ここでは準揮発性有機化合物(SVOC)が付着し,浮遊微粒子を媒介にして室内環境中で移流する現象を想定して,実験的にその可能性の検討を行い,その挙動を解明することを目的とする。更に浮遊微粒子や各汚染物質単体では健康影響がないものも,この様な現象によって引き起こされる健康リスクの増大の可能性についても検討を行うことにより,複合的な室内空気汚染寄稿について新たに展開するものである。 本年度は,昨年度に引き続き,チャンバーを用いたSVOCの付着実験を行い,様々な種類の試験粒子を用いて付着に関するパラメータの検討を行った。各試験粉体については,オートソーブを用いて比表面積を計測し,試験粒子の組成の違いよりも,粉体表面積が付着量に大きく影響することを示した。これを元に,浮遊粉じん濃度,粒径分布,滞留時間,SVOCガス濃度などをパラメータに浮遊粒子への吸着に関するモデル式を構築した。更に,室内に堆積した粒子(ダスト)への吸着過程についても検討することで,浮遊及び堆積粒子に関して吸着メカニズムの一端を明らかにした。 また,浮遊微粒子に付着した際のリスク評価については,既往研究により,単体の汚染物質の健康リスクに加え,浮遊微粒子に付着した際のリスク評価についての検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては,実測により得られた知見を元に,小型チャンバーを用いて,粒子とSVOCの共存実験を構築し,その実験データを元に付着機構の一端を明らかにしたものである。更に,粒子については,浮遊及び堆積粒子における付着過程についての検討も行い,各環境条件におけるモデル式の構築を行うことで,空間中及びダストでのSVOC付着のメカニズムについても明らかにした。 また,健康リスク評価についても,文献等より最新情報を入手することで,室内空気質の現状と健康評価まで総合的な検討を行うことができた。よって,本研究は当初の目的通り,おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究結果を基に,実際の建物での実測を通じて,汚染機構モデルの妥当性を検討する必要がある。様々な環境条件においても,適用できるようなパラメータの検討が更に必要と考えられる。また,数値解析シミュレーションを用いて,粒子表面における現象及び空間中での粒子及びガスの挙動についても,詳細に検討することも必要と考えられる。
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Causes of Carryover |
平成25年度に,実住宅から採取したハウスダストに含有するSVOC及び比表面積の計測を行い,吸着モデル式との比較を行ったが,妥当性を示すことができなかった。これには,比表面積の測定に適切な前処理を行う必要があり,その処理を行う必要があったが,実住宅から十分なサンプルを得ることができないことに起因する。計画を変更し,試験ダストのみでの検討を行ったため,実験費用及び公表するための英文校閲費の予定分で未使用が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため,実住宅におけるサンプルの適切な前処理によるSVOC及び比表面積の計測を行うことで,提案したモデルの妥当性を示し,次年度に公表するため,未使用額はその経費に充てることとする。
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