2012 Fiscal Year Annual Research Report
大震災時の仮設住宅団地における持続的な生活環境改善支援のための多重・分散システム
Project/Area Number |
24360249
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
横田 隆司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20182694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 孝夫 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (90107350)
阪田 弘一 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (30252597)
甲谷 寿史 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20243173)
伊丹 康二 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00403147)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 仮設住宅 / 店舗 / 集会所 / コミュニティ |
Research Abstract |
本研究は、東日本大震災の被災地での仮設住宅団地の供給から解消までの団地での生活実態、そして本研究組織の活動を含む、多様な主体による住環境改善に関わる建築的支援実態の把握を通じ、様々な主体と支援レベルの総体としての、応急居住環境の建築的支援の可能性と、それを支える技術に関するシステムとして構想することを第一の目的としている。本年度は下記のような研究を行った。 (1)仮設住宅団地の住環境改善支援方策の実践的検討 2011年8月から宮城県気仙沼市本吉地区を主な対象地域として仮設住宅団地の住環境改善に取り組んでいる。初期の成果として、冬の寒さ・結露対策を中心に2011年度秋から冬にかけ着手した支援に対する効用について、関係者各位への調査を実施し、論文に取りまとめた。 (2)地域性を踏まえた仮設住宅団地の住環境改善方策の包括的検討 今年度はとくに岩手県大槌町と宮城県気仙沼市において現地調査を行った。大槌町においては10箇所の仮設住宅団地を対象として、団地内の共用施設やサポート体制、外出行動やその移動手段などを中心にコミュニティ全体について調査し,団地により入居者が近隣住民かそうでない所があり、それにより談話室などの利用状況が異なること、各戸への改修工事もまちまちでその効果が感じられない団地もあること等を明らかにしている。気仙沼市においても10箇所の仮設住宅の自治会長を含む住民に対して、周辺住民との関係、生活行動、コミュニティ、自治会組織、外部からの支援などについてヒアリング調査を実施し、高齢者が多く入居している団地では談話室の利用は高いこと、団地周辺の店舗立地は元の家より利便性が良くなった方もおられるくらい違いが大きいこと、小規模団地には支援が届きにくい様子や目が届きにくいため談話室での盗難も発生した所があること、自治組織が整備されたことでコミュニティが震災前より強くなった団地もあること、などを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた現地調査はほぼ完遂し,また成果発表もそれぞれの研究室で順次行っており,とくに研究を遂行する上での課題もとくに見当たらないことから,おおむね順調に進展していると自己評価したものである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も本年度と同様,コミュニティの自助・共助をテーマにして、狭さ・暑さ対策を中心とした仮設住宅団地の住環境改善のための調査・支援などを通じて、今後の災害時を念頭に置き、調査・支援内容のブラッシュアップを図るとともに、そのノウハウ、その効果や課題を広く社会に還元するために、支援の記録やマニュアル、研究成果を取りまとめ、発表するよう準備を進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度,約30万円程の未使用額が発生したが,それは年度中に予定していた現地調査が次年度にずれ込んだものであり,次年度早々から現地調査を行っていく予定である。したがって,基本的には現地調査旅費,および今年度の成果発表のための旅費が大きなウエイトを占めるほか,調査データの整理等に対するコンピュータ関連機器購入費や研究協力者への謝金として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)