2013 Fiscal Year Annual Research Report
根来寺史の総合的研究に基づく中世後期寺院社会像の再構築
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24360256
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山岸 常人 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00142018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永村 眞 日本女子大学, 文学部, 教授 (40107470)
平 雅行 大阪大学, 文学研究科, 教授 (10171399)
中川 委紀子 日本女子大学, 文学部, 研究員 (70618991)
冨島 義幸 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (80319037)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 聖教 / 根来寺大塔 / 編年史料集 / 近世文書 / 立体曼荼羅 |
Research Abstract |
25年度は根来寺史解明のための基礎資料となる文書・聖教調査とその史料整理作業を推進した。 A.史料調査は、以下の通りである。① 金剛寺聖教の撮影と調書作成を行った。 ② 根来寺所蔵近世文書の撮影を行った(所蔵分の約半数を終了)。③ 在地の近世根来寺関係史料の抽出作業を行った。B.史料整理は、以下の通りである。① 根来寺編年史料集を作成した。これは公刊史料集から関連史料を抽出し、史料カードを作成するもので、本年度はこの作業の第一段階であるが、これによって研究の見通しが明確になった。② 近世の在地に所在する根来寺関係文書を多く含む奥家文書1300点の目録を作成した。 美術史関係調査として、これまで調査の不充分であった根来寺大塔本尊仏像群(立体曼荼羅)の調査と詳細な撮影を実施した。この調査は本尊を須弥壇から下ろして、至近で観察する方法をとった。建築史関係調査としては、根来寺大塔の須弥壇上の痕跡調査を実施した。複数の時期の、規模の異なる本尊の安置状況とが明かとなった。本尊の移動によってこの調査が可能となったものである。考古学関係としては、25年度の研究協力者村田の本務による発掘調査成果を踏まえて、既往発掘調査の再整理を実施し、豊臣秀吉によって焼き払われたとされる伽藍のうちの中枢部の中世末の被災状況を再検討した。 以上と併行して、随時担当分野の史料分析作業を継続実施し、5回にわたってその成果の検討会を実施し、内1回は部外研究者を招聘し研究会を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は文書・聖教・美術・建築など諸種の調査が実施でき、初年度の遅れを取り戻している。しかしなお、関連史料調査の未着手のものも一部ある。それらについては収集方法について準備が整い、26年度に推進が可能な状態になっているが、なお一層の推進の予定である。25年度分としては概ね順調に実施できたと認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
調査許可の得られなかった所蔵寺院の史料調査、着手済の史料の調査と撮影の推進を図る。また同時に、本年度着手した調査史料を編年史料集として集約し、かつ電子データ化する作業は、その成果を分担者が共有し、分析作業のさらなる推進に資するもので、この推進が研究成果を挙げるのには不可欠である。これを継続実施する予定である。予定していたシンポジウムも計画立案中であり、これまでの調査・研究の経過を学会に問うとともに、批判を仰ぐ事は今年度の重要な目標である。概ね計画通りの遂行が可能と考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
寺院所蔵聖教調査についての許可が申請者側の調査時期と合致せず先送りとなったものがあったこと、周辺在地社会に伝来する史料についても所蔵者との調整がつかないものがあったことから、それらの調査を先送りしたものがあるためである。 26年度には調査全体を前倒しし、全体の進行が円滑にゆくよう実施したい。
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Research Products
(1 results)