2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本建築の特質とその形成過程~東アジアの木造建築文化との比較を中心に~
Project/Area Number |
24360259
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
川本 重雄 京都女子大学, 家政学部, 学長 (40175295)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 国際研究者交流 / 韓国 / ベトナム / 東アジア / 宮殿 / 儀式 / 民家 / 日本建築史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本建築の持つ空間的特質が獲得された歴史を解明することにある。空間を理解するための主たる視点は空間の使用法である儀式に置き、日本建築の歴史を再検証することに加えて、中国を中心とする東アジアの木造建築文化圏における比較研究を実施している。平成24年度に実施した研究は、(1)日中韓越4カ国の宮殿と宮殿儀式の比較研究、(2)日本の歴史的建造物・歴史資料の調査、(3)日韓の民家の比較研究の三つである。それぞれの成果は以下の通りである。 (1)ワークショップを二回実施し、元日の朝賀と宴会、元服の二つのテーマについて研究発表を行った。 前者については、研究成果報告書を作成している。後者については、元服の加冠を境にして皇帝の装束が変更される点、元服の儀式後元日宴会に準じた宴が催される点が日中韓三国の共通点として挙げられた。一方、場所などについては相違点が多いことが確認できた。今後、具体的内容にまで踏み込んだ比較研究を進める予定である。 (2)民家と寺院建築の調査を実施した.寺院では鎌倉新仏教の本堂空間に宗祖の教義や生き方が、内陣のあり方に大きな影響を与えていることを確認した。民家では南九州・沖縄の民家を主として調査し、畳割りや床の間の普及についての検討を行った。 (3)日韓の民家調査に関するワークショップを実施し、日本の民家と韓国の両班住宅における儀式の比較を行った。現時点では、日韓の研究者がこれまでの研究成果を報告するに止まっており、今後テーマを絞り込みながらワークショップや調査を実施することとしたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外研究協力者の所長への昇格(Phan Thanhhai)、在外研究の予定(Cho Jaemo)、転勤(福田美穂)が重なり、当初の計画通りワークショップを開くことができなかった。また、民家の比較も互いの既研究を取り上げた研究会は実施できたものの、実地での調査を行うことが日程的にできなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
東アジアの官殿建築の比較研究では、25年度以降元服・婚礼・政務・誕生と死をそれぞれ取り上げる。民家の研究では、琉球・日本の比較を先行して実施し、27年度以降韓国の民家との比較に着手する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外研究協力者の昇格・在外研究などの理由で、民家のワークショップは開催きたものの、調査が予定通りにできなかった。25年度はワークショップに加えて沖縄の民家調査などを実施する。
|