2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24360260
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平田 秋彦 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (90350488)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 金属ガラス / 原子構造 / 電子顕微鏡 / 電子回折 / マッピング |
Research Abstract |
本研究の目的は、金属ガラスの原子構造マッピング法を開発することであり、今年度も昨年度に引き続き、オングストロームサイズの電子線を用いたディフラクションマッピングに焦点を置いた研究を行った。従来、ガラス構造の解析にはX線・中性子線回折法などの平均構造解析の手法が用いられてきたが、実際のガラス構造を明らかにするには局所構造の情報も必要であると考えられる。本研究では、オングストロームスケールの局所回折をマッピングすることにより、局所構造の空間分布を検討し、局所情報とマクロ情報を繋ぐことを試みている。昨年度の課題であったデータ取得時のドリフトの問題など、概ね解決できたため、今年度は比較的広い領域から良好な電子回折マッピングを取得できるようになった。具体的なサイズはおおよそ10nm×10nmである。この手法をバルク金属ガラス試料に応用するため、現時点で最高のガラス形成能を示すPd-Cu-Ni-P金属ガラス試料を入手し、電子回折マッピングの取得を試みた。マップ中には同方向の回折波を生じさせる1nm程度の領域が多く観察された。このような領域の構造を理解するため、第一原理分子動力学法を用いて作製した構造モデルとの比較検討を行った。分子動力学モデルから抜き出した原子数およそ50個の配列から得られた一連の電子回折パターンは、実験により得られたものと良い一致を示した。本手法によって、これまでより長範囲の局所構造について議論することが可能となってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の課題であった技術的な問題がクリアでき、良好な電子回折マップを広範囲から得られるようになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、電子回折マッピングをもとにした構造モデリングを引き続き行う。それと並行して深さ分解STEMマッピング法の開発も進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
端数の106円の用途がなく使いきれなかったため。 次年度予算と合わせて購入希望物品に使用する。
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