2012 Fiscal Year Annual Research Report
水溶液プロセスによる透明導電性ZnO膜の実現と透明電子回路への挑戦
Project/Area Number |
24360270
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松下 伸広 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 准教授 (90229469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝又 健一 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教 (70550242)
我田 元 信州大学, 工学部, 助教 (40633722)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 酸化亜鉛膜 / 透明導電性 / 水溶液プロセス / 低環境負荷プロセス / イオンドープ |
Research Abstract |
平成24年度は以下の(1)~(3)のテーマに関して研究を進めた。 (1)溶液条件による膜の微細構造制御と透過率の評価 スピンスプレー法によりガラス基板上にZnO膜を堆積する際の溶液条件と基板温度の変化による膜構造制御を行った。この結果、基板温度を85~100℃と変化させると温度上昇ともに膜厚が増加する傾向が見られた。クエン酸濃度については、0→10mMと変化させると膜の構造がロッド状から連続した透明膜へと変化し、透過率が7→90%と大幅に変化した。 (2)紫外線照射によるZnO膜の低抵抗化と条件最適化 (1)の条件で堆積直後の膜は、90%と高い透過率を持つZnO膜でも2×10^1Ω・cm程度と非常に高抵抗であった。これを~300℃で数時間熱処理した試料では、抵抗率が僅かに減少するか、条件によっては増加する場合もあった。これに対して、キセノンランプとバンドパスフィルターを用いて中心波長を変化させた紫外線を照射した試料では、大幅な抵抗率の減少が観測されたので、それらを赤外分光、熱脱離分析法、FT-IRにより評価したところ、堆積直後の試料では膜中に有機物であるクエン酸が含まれるものの、紫外線照射によりそれらの分解により生成したCやHがドープされてZnO膜が低抵抗化することが推察できた。2.5μm厚の膜に中心波長365nmの紫外線を24時間照射した試料で最も低い抵抗率の8×10^<-3>Ω・cmと85%と高い透過率を達成し、これと比べて1μmと比較的薄い膜では6時間程度の短い照射時間でも4×10^<-2>Ω・cmまで減少した。 (3)溶液調整による他金属イオンドープによる低抵抗化 Alイオンを含む原料液を用いてAlドープを試みたところ、膜中Alイオン濃度は最大で1%程度にとどまるものの、3×10^<-2>Ω・cmという最も低い抵抗率と~80%と高い透過率を達成した。但し、更にAlイオン置換を行ってキャリア濃度を増加させた場合には膜の透過率が減少することも予測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標とした、(1)溶液条件による膜の微細構造制御と透過率の評価、(2)紫外線照射によるZnO膜の低抵抗化と条件最適化、(3)溶液調整による他金属イオンドープによる低抵抗化の3項目について研究を行い、全てについてほぼ目的を達した。このうち、(3)については反応場中でクエン酸イオンによる錯体形成が原因となり、十分なAlイオン量の置換が行えていないものの、無置換の場合と比べて低い抵抗率を得ることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に行ったガラス基板上のZnO膜に対する最適な紫外線照射条件の最適化を更に進める。その際、イオン置換によるこれ以上のキャリア密度向上は膜の透過率を減少させる可能性が高いので、25年度は移動度を向上させる様なイオン置換ならびに膜構造の形成を目標とする。また、紫外線照射条件の最適化をさらに進めることで透明回路の形成を可能とするために紫外線レーザ0の導入を含めた実験条件の整備を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初は紫外線領域のバンドパスフィルター一式を多数購入する予定としていたが、共同研究者から借りることで対応出来る物もあったため、次年度に繰り越す予算が出た。その分も含めて上記紫外線レーザの導入経費にあてることを検討している。
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Research Products
(12 results)